☆特撮短編集３☆

姫扱いは止めて！3 ページ12

貴「っうぅ……。」

逃げ出した私は、林の中でしゃがみこんで泣いていた。

一人で泣いていると、後ろからガサッという音がした。

貴「……誰？」

後ろを振り向く気にもならなかったので、地面を見たまま、そう聞いた。

「……A。」

あれ……？この声って……。

貴「ち……あき？」

恐る恐る後ろを振り返ると、千明がいた。……丈瑠兄達もいるのかな。
「大丈夫。丈瑠達はいねぇから。」

貴「そう……なんだ。」

よかった……。今は、丈瑠兄には会いたくないから……。

貴「千明。何でここにいるってわかったの……？」

「んー……。お前、いつもここで刀の稽古してるだろ？もしかしたらここかなーって思って。」

千明、知ってたんだ。私が内緒で稽古してること。

「あ。丈瑠達には言ってないぜ。俺、いつもAに助けられてるからなー。そのお返し？」

貴「……ねぇ千明。抱きついていい……？」

小さな声でそう聞くと、千明は「あぁ。」と言って、私を抱きしめた。

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