◇39 ページ9
『お前吸わんやろ』
「……気分で買ってみたんです」
『やめとけ』
ライターを貸してくれたのに「やめておけ」って矛盾になんとなく違和感を感じながら煙草に火をつけた。喉が担が絡むようにむずがゆくて、「げほっ」と少しだけ咳き込んだ。大倉さんは私の目の前に座って、私が買った煙草のパッケージを見ている。『セッターか』なんてぼそっと呟いて、私のむせる姿を見た。
『だっさ』
「うるさい」
ひょういっと私の手元から煙草を取って自分の口へ含む大倉さんの姿は姿になっていた。普段はアメスピらしいけど、煙草を吸わない私のその差はよくわからない。私からすればメーカーの違う牛乳ってレベル。それを言えば笑われた。それからは無言の部屋となる。私が買ったセブンスターの箱を見つめ、大倉さんは自分のアメリカンスピリットを吸う。
『……久しぶりやな』
「……そうですね」
『仕事どう？』
「ぼちぼちです。大倉さんは？」
『俺もぼちぼち』
変なぎこちない会話。目線が少し絡むとすぐにナチュラルにお互い避ける。
『なぁ、マルと付き合ったん？』
私は黙り込むと大倉さんは煙草の煙を吐き出した。
『マルな、楽屋で楽しそうに携帯見るようになってん。誰も何も言わんけど女やなってすぐわかるん、そりゃあ何年も一緒にいればわかるようになるんやけど』
まるで自虐しているような表情で話すからなんだかそれはそれで少し変な気持ちになる。この部屋にお酒がないことで逃げる道は手に持っている箱を見ることぐらいしかなかった。
『……俺、Aに後悔したんやで？マルのところに行かせたのも後悔しとる』
私の中で最後の大倉さんが怖くて、しばらく記憶から離れなかったあの日。大倉さんは知らないと思うけど、私あの部屋で1人になって久々に泣いたんですよ？何がつらいのか、何が怖いのかわからないけど泣いたんです。声を殺して。涙が止まらなくて、大倉さんと完全に関係を切れたことを後悔しました。私が避けなければこうならなかったのかと何度も思いました。
……まあ、口が裂けても言いませんけど。こんなこと。
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いくら(プロフ) - すばかなさん» ありがとうございます！気長にお待ちいただけると幸いです: ) (2017年10月5日 11時) (
レス) id: 4dd0c95dfb (このIDを非表示/違反報告)
すばかな - いくらさん» なかなかこのようなクズ倉様を拝める作品がないのでほんまに続編期待してますね！！！ (2017年10月3日 21時) (レス) id: b519c1037c (このIDを非表示/違反報告)
いくら(プロフ) - @ ?? .さん» まるちゃんのああいう感じですね！！もし続編を書くならばまるちゃんをもう少し出していければと持っているのでああいう感じ出して入れると思っています！！本当にありがとうございます~~~◎ (2017年10月2日 23時) (レス) id: 1e59473882 (このIDを非表示/違反報告)
いくら(プロフ) - Rayさん» Rayさん、はじめまして〜◎コメントありがとうございます！！大倉さんとくっつく続きですね！！検討してみます：） (2017年10月2日 23時) (レス) id: 1e59473882 (このIDを非表示/違反報告)
@ ?? .(プロフ) - いくらさん» ほんとに丸ちゃんの闇っていうか裏って言うかまた続きが読みたいなって思いました！待ってます！！ (2017年10月2日 20時) (レス) id: 0a266964d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いく | 作成日時：2017年9月20日 23時
