はじまり ページ1
薄ら香る白粉と、冬の時期に人気なココラの甘い香りが鼻腔に広がる。正直、私はあまり好みではないが世の女性には人気らしい。
一息空気を肺に入れるとツンと冷たく身体に染みる。私は今国王陛下、レオライト王の目下、跪いている。
国王陛下の横には我が父、ファンラルが苦い顔で佇んでいる。その反対にはアルグランド殿下と、殿下に方を抱えられたサクラ嬢が立っている。
白粉と香水の匂いは興味津々なその他大勢の観覧客の貴族達だ。
そして私は全ての人から冷たい視線を受けている。何故私がこの状況下で冷静なのか。
それは、話せば長くなるあのだが―――――…
「わたし、もう怖くてっ！
わたしが田舎から来たなんの権力もない農民の出だから、わたしがアルさまに気に入られているのが気に食わないから、
だからAさまはわたしに特別厳しく当たってきたんです！今まで耐えてきたけどもうムリ！」
サクラ嬢が殿下の腕に自身の体を密着させる。
「やっと化けの皮が剥がれたか。
俺だって散々苦労してきたんだ！
こんなやつと婚約だなんて反吐がでる！
父さん、こいつに重い罰を与えてやろう！将来の王太子妃に酷いことをしたんだ！」
この言葉で私の中の何かが音を立てて崩れ、それと同時に頭に何かが流れてきた。
(これは、記憶。そう…【私】の記憶！
ということは詰まり、俗に言う転生？！
そしてこの状況…もしかして詰んだ？
いや、まてよ？私が今までここでしてきた事って何か間違いあった？
だって、貴族でないサクラ嬢が殿下や他の男性を愛称で呼ぶことや
正式な婚約もしていない、更に私という婚約者が既に居る殿下と二人きりであったりしていたこと
既に婚約者のいる方へのボディタッチのし過ぎを注意したけど、何も間違ってないよね？
寧ろ間違っているのは彼女の方。
そうとなれば、このまま引き下がってたまるものですか！)
∞----------------------∞
ココラとはバニラのような甘い香りの事。
比較的若い層に好まれる。
※私は貴族の序列や名前の付け方とかいまいち分かっていないのでおかしいと思った方はご指摘ください！
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作者名：ぽむぽむぽあろ | 作成日時：2019年3月16日 4時
