_88 ページ38
(cn)
仕事だと分かってはいても、ワクワクしていた。
遠出。泊まりロケ。同じ部屋。涼介と過ごせる時間に、昨日の夜から子どもみたいにドキドキしていた。
だけど、その高揚感に煽られてちょっと宏太と話してる間にいつの間にか向こうは2人で。
わかってたのに、僕が宏太と2人でいれば涼介はひかと2人になるって。
わかってたのに、楽しそうに笑い合う2人を見たら胸の奥がぐちゃぐちゃして、｢車でちょっと休んでる｣なんて言いおいて1人戻ってきてしまった。
伝えた宏太には笑いながら頭を撫でられたからきっと相当わがままな顔をしてたんだろう。
わかってる、こんなくだらない子どもじみた感情。誰一人として得をしない。僕だってそう。
でも、笑い合うふたりを遠くから見ていると、楽しそうな涼介の顔を見ていると、胸の奥がもやもやして、苦しくなる。
｢……ほんとに、眠くなってきちゃった｣
滲みそうな涙を堪えて目を閉じていたらなんだか本当に眠くなってくる。いっそこのまま寝てしまって、せめて夢の中で涼介が僕に笑いかけてくれたら、なんて。
｢……ばかみたい｣
ホテルに着いたらずっと僕と2人っきりでいてくれるんだろうか、なんてまたそんなめんどくさいことを考えながら鼻を啜る。
瞼の奥で、涼介が僕の名前を呼ぶ。慈しむようし優しい手つきでそっと頬を包まれて、映る瞳には蕩けそうなぐらいに確かに愛があって、微笑みながら顔が近づく。
多幸感に溢れた幻夢。
______次に目が覚めたのは、そんな夢の途中。
｢おはよ、眠り姫｣
｢……へ…？｣
夢の中と同じ距離に涼介がいた。
夢の中と同じように僕の頬に触れて。
かすかに唇に残る温度は、きっと夢じゃないと信じたくて。
｢ 好きだよ ｣
｢…待たせて、ごめん｣
頬に触れる感触は、今までと同じようで同じじゃない。
その言葉が、もし僕の願うものなら、
そう祈って目を閉じて。
でも結局またいつもみたいに傷ついたらどうしよう、と震える手を握りしめて。
｢……っ、｣
力む体に感じたのは、ずっと願い続けたやわらかな感触だった。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 293人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぺす。(プロフ) - うめこさん» ありがとうございます(⑉• •⑉) (2023年3月16日 20時) (
レス) id: 206ade82dd (このIDを非表示/違反報告)
うめこ(プロフ) - ハァ…やっぱ甘々最高です（´-`） (2023年3月14日 12時) (レス) @page44 id: 47eba4f513 (このIDを非表示/違反報告)
や(プロフ) - 更新待ってます。 (2022年2月18日 23時) (レス) id: 5f35425ac6 (このIDを非表示/違反報告)
ぺす。(プロフ) - ボボンデスさん» ありがとうございます、そう言っていただけるととても嬉しいです！やっぱり「面白い」と思っていただけるのが書いている側としては1番嬉しいです(^^ 更新頻度は遅いですが、今後もよろしくお願い致します (2020年3月6日 4時) (レス) id: 8fc2c5dabd (このIDを非表示/違反報告)
ボボンデス - めちゃくちゃ面白いです！！私も健気な知念くんが報われてほしいな、と勝手に思っています。結末がどうであったとしても、続きを楽しみにしております。 (2020年3月3日 23時) (レス) id: c7669e2271 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぺす。
| 作成日時：2017年2月2日 0時
