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｢隣、いいか｣
｢どーぞ｣
裕翔に席を譲ったあと、埋まった座席を見ながら伊野尾の隣に腰掛けた。
｢……なんだよ｣
｢別に｣
寝よう、そう思ったのに、思えば思うほどに光と裕翔の楽しそうな声ばかり拾ってしまう。
別にいいじゃないか。光の隣に座ればいいと言ったのは俺だ。
それなのに、2人の好きなバンドの話、楽器の話、楽しそうな光の声、興奮気味な相槌、
俺の、ついていけない話だ。
｢…そんなに嫌なら最初から自分が隣座ればいいのに｣
隣から聞こえたそんな声にゆっくりと目を開くと伊野尾は呆れた顔で 寝たふりヘタクソ と呟いた。
わかってるよ。そう言おうとして口を閉じる。
言葉にするのは簡単だ。
でも自分でとまとめられていない気持ちを全て伝えるのは難しい。
常に冷静でいるということも。
あの時、光の隣に座りたそうにしていた裕翔に純粋に譲ってあげたいと思ったのが3割、言い知れぬ苛立ちが3割、光の隣に座ることのなんとなしの気まずさが4割。
とりあえず咄嗟に席を譲ってその場を離れる以外の選択肢を選べなかった。
光が求めていた答えは顔を見ればすぐわかる。それでも、自分が座ると、言えなかった。
｢あ〜もう着いちゃうよ、もっと光くんと話したかったなぁ！｣
｢じゃあこのまま飲み行くか？｣
｢え！ほんとに！いいの！？｣
そんな楽しそうな声が聞こえて拳をにぎりしめる。
お前は、すぐに俺の家に来たがるものだと思っていた、なんてそんなものは俺の身勝手すぎる我儘だけど。
裕翔とご飯に行ってもいい？
光から送られてきたそんなメッセージにふつふつと言い知れぬ苛立ちが湧き上がる。
俺に聞くなよ。聞くなら行くなよ。
こんなことを言いたいわけじゃないのに、
どうにも、止められない。
｢…やぶ、｣
｢っ、｣
｢貧乏ゆすり、ひどいよ｣
落ち着けって、そう言って膝に添えられた手に少しずつ熱が冷めていくのを感じて、深く息を吸い込む。
悪い、と呟くと自分のおでこをとんとんと叩きながら
あと眉間の皺な、と伊野尾はまた呆れたように笑った。
｢いいよ。｣ ただそれだけ送って電源を落とす。
直ぐに送られてくるであろう｢ありがとう｣の文字は今は見たくなかった。
｢……ったく、�犲蠅�かかる�瓩佑Г�前らも…｣
｢ぁ？｣
｢別に。…たまには俺らも行くか？飲み｣
｢…あぁ、そうだな｣
．
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ぺす。(プロフ) - うめこさん» ありがとうございます(⑉• •⑉) (2023年3月16日 20時) (
レス) id: 206ade82dd (このIDを非表示/違反報告)
うめこ(プロフ) - ハァ…やっぱ甘々最高です（´-`） (2023年3月14日 12時) (レス) @page44 id: 47eba4f513 (このIDを非表示/違反報告)
や(プロフ) - 更新待ってます。 (2022年2月18日 23時) (レス) id: 5f35425ac6 (このIDを非表示/違反報告)
ぺす。(プロフ) - ボボンデスさん» ありがとうございます、そう言っていただけるととても嬉しいです！やっぱり「面白い」と思っていただけるのが書いている側としては1番嬉しいです(^^ 更新頻度は遅いですが、今後もよろしくお願い致します (2020年3月6日 4時) (レス) id: 8fc2c5dabd (このIDを非表示/違反報告)
ボボンデス - めちゃくちゃ面白いです！！私も健気な知念くんが報われてほしいな、と勝手に思っています。結末がどうであったとしても、続きを楽しみにしております。 (2020年3月3日 23時) (レス) id: c7669e2271 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぺす。
| 作成日時：2017年2月2日 0時
