(#) ページ37
『涼介っ！』
家に帰ってきた慧は、いつも通りの男の格好。
だからこそ、そのピンクに染った唇が際立つ。
そっと触れれば俺の指までピンクに染った。
『ねぇ……しないの…？』
俺の腕に体を引っ付けて、上目遣いに俺を見上げて、くいと顎を持ち上げれば待ってましたとばかりにぱたと睫毛を落とす。
｢ねぇ…もしかして塗り直した…？｣
さっきよりも濃いピンク。
毒々しさを増したそこは慧に似合っているとは言い難いけれど、
『だって…その方が長くしてくれると思って……』
その分を補うのは慧から滲み出る可愛さと
『ねぇ…はやくしよぅょ…』
色気。
｢ごめんごめん、｣
顎から頬へ手を添えれば、もう一度期待に満ちた目を閉じる。
少しだけベタつく唇を舐め取ればそれすらも焦れったいと言わんばかりに睫毛を上向かせて、慧の方からもかぶりつくようなキスをお見舞いされる。
着実に薄くなっていくピンク色。
何度したって一向に止まることのない慧の唇は全身使って｢俺ともっとキスがしたい｣と言っているようで、嬉しさを感じつつも、胸の奥がきゅーんと切なくなった。
だってそれは自分たちのせいだ。
仕事で忙しいのは有難いし嬉しいことだけど、その分俺たちの時間は削れていく。
これ以上は望めなくても、今日のような時間は貴重で大切なもの。
｢ けい…、｣
もっもっとと縋りつくその肩を、抑えて体を離せば水分量を増やした目がどうしてと俺を見る。
この時間がもう焦れったいと。
だけど今、だから今、言わなければならない。
｢ これからも、お互い仕事でこうして触れ合う時間も減るだろうし、女の人との共演も増えると思う…いっぱい不安にさせるかもしれないけど、俺を選んでくれたことは絶対後悔させないから。
絶対、幸せにするから。
何十年経っても、俺は世界で一番慧を愛してる。 ｣
リンゴみたいに真っ赤な頬。零れる涙を堪えるようにぐっと歯を食いしばってぱちぱちと目を瞬かせる。
代わりに俺が泣いてしまいそうになるほど、その姿は必死で、可愛くて。
『 …そんなのっ、俺もだしっ…！俺だって、涼に迷惑かけたくないし、もっとすぐ嫉妬しないように心の広い男になりたいし…
俺は涼介を選んだこと絶対後悔なんてするはずないんだから…！
俺が、俺を、選んだことを涼に後悔させないように頑張るんだよ！
俺はっ……俺は宇宙で一番山田涼介が好きなんだから！！』
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ぺす。(プロフ) - Jumploveさん» ありがとうございます(*´-`*) (2017年1月5日 11時) (
レス) id: 7cb77570db (このIDを非表示/違反報告)
Jumplove - すっごい、感動しました！読んでる途中、涙がでできました。 (2017年1月5日 11時) (レス) id: dcced1e667 (このIDを非表示/違反報告)
ぺす。(プロフ) - 澄みやかさん» ありがとうございます(*´-`*) (2017年1月4日 14時) (レス) id: 7cb77570db (このIDを非表示/違反報告)
澄みやか - 結婚式最高でした！本当に感動して泣きそうになりました。 (2017年1月4日 11時) (レス) id: c1ee294b9d (このIDを非表示/違反報告)
ぺす。(プロフ) - まみさん» いえいえ、こちらこそです (2017年1月3日 15時) (レス) id: 7cb77570db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぺす。
| 作成日時：2016年12月16日 17時
