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寝るときは、確かに手を繋いでいただけだったはずなのに、朝目が覚めるとなぜかまた薮の腕の中にいる。
それがまた心地いいから二度寝でもしてしまいそうに微睡んで、
ちょっとだけ、ムカつく。
好きだ、って 口に出してしまいそうになるから。
薮 光って新しい俺の名前を、口に出したくなってしまうから。
まだ少しだるいし、もう少しだけこのままでもいいだろうかと落ちてしまいそうになる瞼を押し上げて、式まで時間がないんだと眠気の取れない体に鞭を打つ。
『おい、』
相変わらず無駄に抱きしめる力の強いそいつの鼻を摘んでやれば、｢ふがっ、｣と不細工な声を出してゆっくりと目が開く。
｢ひかる…｣
『離せ』
昨日は惑わされてしまったその間延びした声を押し退けてなんとか腕をすり抜けた。
パンを焼いて、軽くサラダも作って、コーヒーを注いでいたら、案の定寝巻きのままの薮が後ろからまだ眠そうに抱きついてくる。
その手の上から自分の手を重ねて、離れろと、そう言いたいのに
首元から刷り込まれる薮の匂いにそんな気力もなくなってしまう。
『コーヒー入れられない』そう言えばその長い腕を後ろから伸ばして器用にカップにコーヒーを注いでいく。
その分体は密着するわけで、背中越しにトクトクと薮の規則的な音が聞こえる。
注ぎ終えれば｢えらいでしょ？｣とでも言いたそうな顔で少し上から俺を見上げるから、頭を撫でてやればふにゃりと顔を綻ばせて
その笑顔に不覚にもドキッと音を立てた心臓は、薮には聞こえていないことを願うばかり。
｢ ん、うまい ｣
『 そりゃよかった 』
｢ ひかる ｣
『 ん 、 』
｢ 呼んだだけ ｣
『ぁっそ…』
『 やぶ 』
｢ ん 、 ｣
『 呼んだだけ 』
｢ そっか、笑 ｣
まだほんの少しだけ周りに漂う微睡みのせいか、なんとなくほわほわした空気に包まれる。
だからか、
『 やぶ 、今日仕事は ？ 』
｢ 仕事 ？ ｣
『｢ 仕事 ！？ ｣』
眠気の覚めて見開かれた目を見合わせて、時計を見て、勢いよく立ち上がる。
優雅にコーヒー飲んでる時間なんてありはしないんだ。
大慌てで支度して、車に乗って、着いたのは結局また時間ギリギリだった。
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ぺす。(プロフ) - Jumploveさん» ありがとうございます(*´-`*) (2017年1月5日 11時) (
レス) id: 7cb77570db (このIDを非表示/違反報告)
Jumplove - すっごい、感動しました！読んでる途中、涙がでできました。 (2017年1月5日 11時) (レス) id: dcced1e667 (このIDを非表示/違反報告)
ぺす。(プロフ) - 澄みやかさん» ありがとうございます(*´-`*) (2017年1月4日 14時) (レス) id: 7cb77570db (このIDを非表示/違反報告)
澄みやか - 結婚式最高でした！本当に感動して泣きそうになりました。 (2017年1月4日 11時) (レス) id: c1ee294b9d (このIDを非表示/違反報告)
ぺす。(プロフ) - まみさん» いえいえ、こちらこそです (2017年1月3日 15時) (レス) id: 7cb77570db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぺす。
| 作成日時：2016年12月16日 17時
