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「あ、山田おかえり〜」
「……………は?」
光くんを送り届けて、達成感と憂鬱感に包まれながら、開けたドア。
その向こうには、聞きなれた声と腹立つくらいに笑顔なそいつがいた。
「遅かったじゃん山田ぁ〜」
「いや、お前今日無理だって、てかどうやって入ったんだよ」
「管理人さん入れてくれたよ?」
くりくりの目でそれが何か?って。
管理人さんも、なんでそんなあっさり入れちゃうんだ…
「不法侵入」
「いや、管理人さんに入れてもらったって!」
「バカ岡」
「おい!」
「クソ岡」
「なんでだよ!
…あーもう、泣くなって、」
それでも、大ちゃんがいるってことは、俺にとっては結構安心できることであり、自分でも予想外だけどぼろぼろと涙が溢れて仕方なかった。
俺は、本当に光くんが好きだったんだなって今更。
失恋ってこんな感じなんだなって今更。
止まることなく溢れる涙は、どんどんそのTシャツを濡らしてしまうのに、大ちゃんはずっと「よく頑張ったな」って、優しく背中をたたいてくれた。
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「山田、明日仕事は?」
「…映画の、撮影と、取材1個…」
「大丈夫か?目ぱんぱんだけど」
ほら、冷やせって氷の入った袋を差し出して、グズグズ鳴る俺の鼻にティッシュを押し付ける。
俺はそのまま大ちゃんに支えられながら鼻をかんでもたれかかった。
あんまり弱い部分を曝け出したくはないけれど、まぁ大ちゃんならいいかなって。
「色々、ごめん…」
「なんだよ今更、笑」
「……なんか、むかつく」
「お前、素直って言葉知らねぇのかよ」
「嘘だよ…ありがとう」
なんか照れるなって、鼻を擦るけど、俺だって結構恥ずかしい。
だけど、何があったかを聞いてこないのはやっぱり大ちゃんらしいし、楽だ。
俺の好きなタイミングでいいってことだから。
「俺、大ちゃんに好きな人ができたら応援する」
「はは、ありがと」
その後、明日もお互い仕事はあるのに、結構な深夜になってから急に話したくなって今日のことを話した。
それでも大ちゃんはなんの不満も言わずに隣で聞いててくれた。
それでまた、ちょっとだけ泣いちゃったんだけど。
「あとは知念か…」
小さくそう呟いた大ちゃんに「明日直接話してくる」って伝えたらなんか微妙な顔をされたけど。
「頑張れよ」って、何を頑張るんだ…?
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ぺす。(プロフ) - ことさん» ありがとうございます、頑張ります(*´-`*) (2017年1月7日 0時) (レス) id: 7cb77570db (このIDを非表示/違反報告)
こと - 山ちゃん!切ない(涙) これからも頑張ってください!! (2017年1月6日 23時) (レス) id: bdfd1bb388 (このIDを非表示/違反報告)
ぺす。(プロフ) - 曖昧実さん» ありがとうございます、これからもよろしくお願いします(*´ω`*) (2017年1月2日 12時) (レス) id: 7cb77570db (このIDを非表示/違反報告)
曖昧実(プロフ) - すごく素敵なお話です!新年からボロボロに泣いてしまいました。これからも更新頑張ってください! (2017年1月2日 12時) (レス) id: bf70034b3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぺす。 | 作成日時:2016年11月19日 21時