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慧side.
しばらく安静って言われたから病院から出ることもできず、また前のように窓の外を眺めるだけ。
毎日来てくれていたゆーともやっぱりいない。
当然のことだけど、それでもやっぱり会いたいんだ。
どこにいたって、見つけてくれると言ったから。
『会いたいよ…ゅーと……』
この狭い空間から、俺を連れ出して…
『…なんて、ね……』
窓の外に向けていた視線を中に戻すとコンコン、とドアを叩く音がした。
考えてたことがそれなだけに心臓がドクン、と音を立てる。
．
．．
�犒邸帖���
『……母さん…、
もう、毎日来なくても大丈夫だって言ってるでしょ…』
�爐任癲帖↓�
『俺24だよ？そんな親に頼る年じゃないって、
ほらもう帰って』
しぶしぶといった顔で部屋を出ていった母さんを横目に、また窓の外へと顔を向ける。
あぁ、ドキドキして損した…
内心むくれていると再度コンコン、と叩かれるドア。
顔は向けずに心の中でため息をひとつ。
『…なに母さん、忘れ物？』
｢…ううん、探し物｣
『ぇ…、』
母親のものではない、
ずっと頭の中で再生し続けていた声。
それが本物かを確かめる前に、俺は抱きしめられていた。
｢やっと、見つけた…｣
だけど、顔なんて見なくてもわかる。
この声と、腕と、温もりで。
ぶわ、と溢れた涙が視界を歪ませる。
『ゅ、と…っ、、！』
｢いのちゃん…、ごめんね、いっぱい待たせて…｣
『んーんっ…！』
俺が勝手にゆーとの前に現れて、急にいなくなってから、ずっとゆーとを縛っていたのは俺の方。
ぶんぶんと首を横に振ると、ゆーとの大きな手に頬を包まれて目元に溜まった雫を拭ってくれる。
｢行こう、皆待ってる！｣
少しだけクリアになった視界いっぱいに映った少しだけ大人びたそれでいて無邪気な笑顔。
ゆーとに腕を引かれて走る院内は初めての感覚で、怒鳴る婦長さんの声も気にならない。
息も苦しくない。
ただ、胸がいっぱいで苦しかった。
．
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作者名：ぺす。
| 作成日時：2017年8月3日 21時
