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後悔 ページ39

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「貴方、鬼の形相してるけど一応人間でしょ?」
馬鹿にしやがって

「人間を救う事が出来る血、それが私の能力」
やめろ

「つまり、私の血を飲めば帰れるかもしれない」
やめろ

「あの子が出来るなら…私にだってきっと出来る」
やめろよ

「私も…やれる資格はあるわ」
やめろって言ってんだろ

「…ッ、ごめ、私…刃物なんて持った事なくてッ、…弱いわね。貴方を帰す義務があるって言いながらこんなに怖気付くなんて…。あの子も貴方も…こんなに怖い思いをしてたのねッ」

違う
俺は怖い思いなんざしてねェ
お前が出来る事じゃねェ
頼むからやめろ

「ちょっとじゃダメなのよ…もっと深く、」
「…や、めろ…ッ…女が、傷、…付けんじゃ…ねェ」

必死よ思いで俺は訴える。

「馬鹿」

そう言ってアザミは俺の額に優しく触り、軽く接吻をした。

「ただの傷な訳ないでしょ。コレは私が生命張って護りたかった、"名誉ある印"なのよ」

泣きそうな顔で無理矢理笑うアザミ。

「だから…実弥さん。あの子を頼むわよ」

 眠気が最高潮に達し、最後の方は何を言っているのか聞こえなかった。掠れる視界の中、感じたのは口元いっぱいに広がる鉄の味と、腕から盛大に血液が溢れ出し顔を(しか)めている女。そして俺を抱き締める女の香り。



「──────…」



.



「…難しい」

 目の前には真っ白の紙。周りにはクシャクシャに丸めた紙の塊達。右手には動けず終いの万年筆。隣にはすやすやと眠る彼。絶賛手紙制作中である。しかしこれがどうも上手く書けない。何から始めれば良いのかも分からないし、何を書けば良いのかも勿論分からない。時間だけが過ぎていく。


───Aさんの気持ちが伝われば、書き方なんて何で構わないんですよ

 しのぶさんは優しく私にそう言ってくれた。チラッと隣で寝ている彼を見つめる。


「…よし」


 私はもう一度万年筆を持ち直し、紙に文字を書いていった。どうか、想いが届きますように



.




「痛ったい…」

 血だらけになった腕を消毒して包帯で器用に巻く。

「…私、やっぱり後悔してんじゃない」

 人質にならなくたって、後悔してんじゃない。自由を手に入れたって、後悔してんじゃない。何が"あの子は普通じゃない"よ。何が"私はあの子と違う"よ。逃げたのは私じゃない。

 愛されて、褒められて、必要とされて。

「結局空っぽなのは私の方ね」

 この真っ暗な場所で、ポロポロと零れる涙を拭う人は誰も居ない。


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うぇすとり?ぁー(プロフ) - 大ファンです!完結おめでとうございます!伏線回収も回想シーンも最高でした!自分はアザミちゃんが好きです。 (2021年10月3日 23時) (レス) @page48 id: 9275faa17d (このIDを非表示/違反報告)
ライアミ - めっちゃ泣けたヨ!布団がめちゃくちゃ濡れてんだけど……………ヤバいネ。感動をありがとアル!泣くことや笑うことはストレス発散になるからネ!終わりヨ! (2021年3月28日 1時) (レス) id: 2c479952a6 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 光華さん» コメントありがとうございます。光華さん、いつも自分の作品にコメントしてくださって、本当にありがとうございます!鬼滅作品を思う存分書いた後、すぐに銀魂復帰しますので、約束です! (2021年1月25日 0時) (レス) id: 611a77bbbd (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 完結おめでとうございます!次も鬼滅ですか!銀魂も鬼滅も好きなので!! 銀魂作品更新応援してます!何時までも待ってますんで、虚無感ゆっくり消化してください (2021年1月24日 18時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いくま | 作者ホームページ:http  
作成日時:2021年1月18日 20時

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