希望 ページ28
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「…」
彼女は黙って首を横に振っていた。その姿に羅刹は眉をひそめケッと横目で彼女を見た。
「相変わらず面白くねぇ女。あ、
「…」
「ああそうかよ!首ばっか振りやがって!いつか折れろ!」
「…静かに、して」
「お前が喋んねぇと煩くしてやる。分かったな」
「…分かっ、た」
「よし。
「…そんな希望、そもそも…持ってない」
「あ?馬鹿にしてんのか、だいぶ前に約束したじゃねぇか。俺がお前の首輪を外してやるって。約束忘れてんじゃねぇ」
約束。そう言えばそんな事した。彼女はそう思いながら彼の言葉を聞いていたが、それは約束と言うより勝手に決められて勝手に成立したただの一方的なモノではないか、とも思った。口にはしなかったが。
「よし決めた」
「…?」
急に彼が口を開いた。彼女はまた何か始まったと思いながら彼に顔を向ける。
「明日の夜にこの家の人間全員喰う」
「…な、に…言ってんの」
彼がドヤ顔でそう言った。誰も望んでいない事を、あたかも自分は良い事をしていますというような口調で彼は言う。
「そんでお前の首輪を外してお前を鬼にしてやる」
「……は」
私を、鬼に?彼女は真顔でそう思った。何を言っているんだろう家族を殺した罪もまだ償えていない今、自分を鬼にすると言い出した彼。
「そしたらずっと一緒だ」
「……私は、此処に…居る」
「何でだ?お前も人間が憎いだろ、嫌いだろ?」
「…違う」
私が本当に憎んでいるのは、人間でも鬼でもない自分自身だ。
「こんな所に十年も閉じ込めて、人間の扱いもされなくて、毎日傷付けられて、復讐したいだろ?」
「…ちが、う」
復讐したいなんて。何も護れなかった自分にしたいくらいだ。
「そういやお前の名前、薊美だったなぁ。…お前の瞳の色、赤に近い薊色だな。あ、薊の花言葉って知ってるか?」
「…知らな、い」
「お前にぴったりだぜ?"復讐"だ、なぁ?言いたい事、分かるだろ?俺はお前を幸せにしてやる、"友達"だからな」
「……、」
違う。そんなの友達じゃない。復讐なんてしたくない。これ以上私を汚くしないでくれ。
「…しなくていい、頼んでない…ッ」
「いーや、する。俺がしたいから」
「…やめ、」
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うぇすとり?ぁー(プロフ) - 大ファンです!完結おめでとうございます!伏線回収も回想シーンも最高でした!自分はアザミちゃんが好きです。 (2021年10月3日 23時) (レス) @page48 id: 9275faa17d (このIDを非表示/違反報告)
ライアミ - めっちゃ泣けたヨ!布団がめちゃくちゃ濡れてんだけど……………ヤバいネ。感動をありがとアル!泣くことや笑うことはストレス発散になるからネ!終わりヨ! (2021年3月28日 1時) (レス) id: 2c479952a6 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 光華さん» コメントありがとうございます。光華さん、いつも自分の作品にコメントしてくださって、本当にありがとうございます!鬼滅作品を思う存分書いた後、すぐに銀魂復帰しますので、約束です! (2021年1月25日 0時) (レス) id: 611a77bbbd (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 完結おめでとうございます!次も鬼滅ですか!銀魂も鬼滅も好きなので!! 銀魂作品更新応援してます!何時までも待ってますんで、虚無感ゆっくり消化してください (2021年1月24日 18時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)
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