検索窓
今日:1 hit、昨日:13 hit、合計:79,585 hit

希望 ページ28






「…」

彼女は黙って首を横に振っていた。その姿に羅刹は眉をひそめケッと横目で彼女を見た。

「相変わらず面白くねぇ女。あ、首輪(ソレ)はどうだ?外して欲しいだろ。お前がどうしてもって言うなら外してやらなくもないぜ」
「…」
「ああそうかよ!首ばっか振りやがって!いつか折れろ!」
「…静かに、して」
「お前が喋んねぇと煩くしてやる。分かったな」
「…分かっ、た」
「よし。首輪(ソレ)、外して欲しいって言え」
「…そんな希望、そもそも…持ってない」
「あ?馬鹿にしてんのか、だいぶ前に約束したじゃねぇか。俺がお前の首輪を外してやるって。約束忘れてんじゃねぇ」

 約束。そう言えばそんな事した。彼女はそう思いながら彼の言葉を聞いていたが、それは約束と言うより勝手に決められて勝手に成立したただの一方的なモノではないか、とも思った。口にはしなかったが。


「よし決めた」
「…?」


 急に彼が口を開いた。彼女はまた何か始まったと思いながら彼に顔を向ける。

「明日の夜にこの家の人間全員喰う」
「…な、に…言ってんの」

 彼がドヤ顔でそう言った。誰も望んでいない事を、あたかも自分は良い事をしていますというような口調で彼は言う。

「そんでお前の首輪を外してお前を鬼にしてやる」
「……は」

 私を、鬼に?彼女は真顔でそう思った。何を言っているんだろう家族を殺した罪もまだ償えていない今、自分を鬼にすると言い出した彼。

「そしたらずっと一緒だ」
「……私は、此処に…居る」
「何でだ?お前も人間が憎いだろ、嫌いだろ?」
「…違う」

 私が本当に憎んでいるのは、人間でも鬼でもない自分自身だ。


「こんな所に十年も閉じ込めて、人間の扱いもされなくて、毎日傷付けられて、復讐したいだろ?」
「…ちが、う」


 復讐したいなんて。何も護れなかった自分にしたいくらいだ。


「そういやお前の名前、薊美だったなぁ。…お前の瞳の色、赤に近い薊色だな。あ、薊の花言葉って知ってるか?」
「…知らな、い」
「お前にぴったりだぜ?"復讐"だ、なぁ?言いたい事、分かるだろ?俺はお前を幸せにしてやる、"友達"だからな」
「……、」

 違う。そんなの友達じゃない。復讐なんてしたくない。これ以上私を汚くしないでくれ。

「…しなくていい、頼んでない…ッ」
「いーや、する。俺がしたいから」
「…やめ、」




.

明日→←偽物



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (147 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
195人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 不死川実弥
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

うぇすとり?ぁー(プロフ) - 大ファンです!完結おめでとうございます!伏線回収も回想シーンも最高でした!自分はアザミちゃんが好きです。 (2021年10月3日 23時) (レス) @page48 id: 9275faa17d (このIDを非表示/違反報告)
ライアミ - めっちゃ泣けたヨ!布団がめちゃくちゃ濡れてんだけど……………ヤバいネ。感動をありがとアル!泣くことや笑うことはストレス発散になるからネ!終わりヨ! (2021年3月28日 1時) (レス) id: 2c479952a6 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 光華さん» コメントありがとうございます。光華さん、いつも自分の作品にコメントしてくださって、本当にありがとうございます!鬼滅作品を思う存分書いた後、すぐに銀魂復帰しますので、約束です! (2021年1月25日 0時) (レス) id: 611a77bbbd (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 完結おめでとうございます!次も鬼滅ですか!銀魂も鬼滅も好きなので!! 銀魂作品更新応援してます!何時までも待ってますんで、虚無感ゆっくり消化してください (2021年1月24日 18時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:いくま | 作者ホームページ:http  
作成日時:2021年1月18日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。