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遡行 ページ12

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「…」

 アザミの後ろをついて行くと、急にアザミは立ち止まった。キッと俺を睨んで、無言になる。

「…今から、」
「おう」
「…今から見るものは…決して良いものなんかじゃないわ。勿論貴方に拒否権なんてモノはないけど。


 ────────覚悟は、しといて」

 そうキッパリ言い放ち、また歩き出した。俺はその背中を見て…覚悟を決めて後を追った。
 暗闇の中をただ藻掻(もが)く様に歩き続けた。すると、アザミがいきなり立ち止まった。構わず歩いていた俺がアザミの背中にぶつかる。

「ってェ、何急に立ち止まってんだァ」
「うるさい黙れ静かにしろ」

 アザミが睨みながら俺にそう言う。そしてアザミの指さす方向に顔を向けると


「…A」


 彼女がそこに立っていた。場所はあの屋敷の近くにある森林。木の葉が舞い散り、風に揺られていた。彼女は俺たちの方を見ておらず、ただ様子が少しおかしい。呆然、唖然、放心状態。そこら辺の言葉が一番しっくりくるだろう。

「…オイ、様子がなんかおかしくねェか?」

 俺は目の前に居るアザミに話しかける。

「……ちょっと遅かったわね」
「は?何がだァ?」


 アザミはそう呟くと、手の甲を彼女の居る方へ向けた。何をしているんだ、この女は。


「"遡行"」


 アザミはそう言って、手を(ひね)った。するとみるみる目の前にある物が逆再生していく。


「なっ…」


 何が起こっている。アザミは自分のしている事を全く俺に説明せずにただ手首を捻らせて時間を巻き戻していた。


「貴方がウジウジしてたから時が先に進んでたじゃない。ホラ、戻ったから早く行くわよ」
「いや、戻ったって…お前一体何者…ッ」
「言ったでしょ、此処は私の居場所。好き放題してなんぼよ」
「好き放題し過ぎだろォ」

 サラッと髪を(なび)かせ、アザミは俺の背中を押した。

「ッ、テメェ!何すん…」
「此処からはアンタの仕事よ。後でまた来るわ」

 そう言ってアザミは消えた。跡形もなく、何度も見たようにパンッと消えた。


「…何なんだァ」


 そう言って、俺は振り向く。目の前に映るのは、自然いっぱいの森林。太陽も沈んだ時間。周りも静寂な音に包まれていて気味が悪い。


「……こんな所に、Aが来んのかァ?」


 アザミが言っていた事が頭に引っかかる。今から見るものは、決して良いものではない。そんなの、見る前から分かっていた。


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うぇすとり?ぁー(プロフ) - 大ファンです!完結おめでとうございます!伏線回収も回想シーンも最高でした!自分はアザミちゃんが好きです。 (2021年10月3日 23時) (レス) @page48 id: 9275faa17d (このIDを非表示/違反報告)
ライアミ - めっちゃ泣けたヨ!布団がめちゃくちゃ濡れてんだけど……………ヤバいネ。感動をありがとアル!泣くことや笑うことはストレス発散になるからネ!終わりヨ! (2021年3月28日 1時) (レス) id: 2c479952a6 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 光華さん» コメントありがとうございます。光華さん、いつも自分の作品にコメントしてくださって、本当にありがとうございます!鬼滅作品を思う存分書いた後、すぐに銀魂復帰しますので、約束です! (2021年1月25日 0時) (レス) id: 611a77bbbd (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 完結おめでとうございます!次も鬼滅ですか!銀魂も鬼滅も好きなので!! 銀魂作品更新応援してます!何時までも待ってますんで、虚無感ゆっくり消化してください (2021年1月24日 18時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いくま | 作者ホームページ:http  
作成日時:2021年1月18日 20時

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