喧嘩 ページ37
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「Aさん」
「…」
彼女がゆっくりと顔を上げる。
「手紙を、書いてみませんか?」
「…手紙?」
「はい、口下手なAさんでも手紙ならちゃんと自分の想いを伝える事が出来ると思いますよ」
ニコッと胡蝶は彼女に笑いかける。
「…」
彼女は少し考える素振りをした後に「…書いて、みます」と呟いた。良かった、少し元気になってくれた。胡蝶は安堵する。
どうか、彼女の想いが伝わりますように。どうか、彼女の想いが届きますように。
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「どうすんのよ!」
「知らねェよ!」
時計を手に持ち、焦った様子で俺に問いかけるアザミ。それにブチ切れる俺。
「大体ねぇ!貴方がグズグズ引きずって訳分かんない言い訳並べてるからこんな事になったのよ!何よ"俺しかいねェ"って!馬鹿じゃないの!」
「うるっせェよ!その訳分かんねェ言葉にビービー泣いてたのは何処のどいつだ!泣く暇あンなら時間のひとつくらい確証しとけやァ!!」
「はぁー!?そもそも貴方が自分の持っている時計に気付かないのが悪いんでしょー!?私の予定なら"八"に終わって優雅に
「俺のせいだって言いてェのかァ!?お前がもっと早くからこの
「何ですって!?」
「何だよ!!」
低レベルな口喧嘩を嫌という程やり続けていた俺達はやっと底がついたのかお互いを睨んだまま息切れをしていた。
「…不毛な戦いね…」
「あァ、そうだな…」
アザミは一度黙り込んで頭を抱えていた。
「どうすんのよ。あ〜前例がないから対処の仕様がないわ…」
「…前例ィ?」
「ええ。言ったでしょ、この
成程なァ、だから前例無しって訳か。アザミが頭抱えて悩むのも分かる。
帰れない、か。どうすれ良いかも分からない、か。帰り方も、そもそもどうやって此処に来たのかも分からない。眠ったら勝手にこの世界に。
「オイ!眠ったら元の世界に戻れるんじゃねェか!?」
「無理よ」
「即答かよォ…」
俺の提案を一瞬で粉砕するアザミ。
「元々眠ったら
「じゃあ眠りゃァいいじゃねェか」
「馬鹿。そんなの時間内の話に決まってるじゃない。今はもう時が過ぎてる、つまり時間外の話」
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うぇすとり?ぁー(プロフ) - 大ファンです!完結おめでとうございます!伏線回収も回想シーンも最高でした!自分はアザミちゃんが好きです。 (2021年10月3日 23時) (レス) @page48 id: 9275faa17d (このIDを非表示/違反報告)
ライアミ - めっちゃ泣けたヨ!布団がめちゃくちゃ濡れてんだけど……………ヤバいネ。感動をありがとアル!泣くことや笑うことはストレス発散になるからネ!終わりヨ! (2021年3月28日 1時) (レス) id: 2c479952a6 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 光華さん» コメントありがとうございます。光華さん、いつも自分の作品にコメントしてくださって、本当にありがとうございます!鬼滅作品を思う存分書いた後、すぐに銀魂復帰しますので、約束です! (2021年1月25日 0時) (レス) id: 611a77bbbd (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 完結おめでとうございます!次も鬼滅ですか!銀魂も鬼滅も好きなので!! 銀魂作品更新応援してます!何時までも待ってますんで、虚無感ゆっくり消化してください (2021年1月24日 18時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)
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