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「お前、血、出てんぞ。俺に近づくなよ、お前の血、俺飲むと死んじゃうから」

 あっさり彼女の状況を把握した羅刹は、またあっさりとした口調で彼女にそう言った。

「何かあったのか?」

 羅刹は興味無さそうな様子だったが、一応彼女の荒れ狂った自傷行為を心配していた。"鬼"なのに。もう一度言おう。彼は人を喰らう"鬼"なのに彼女を心配していた。


「貴方には関係ない」

 彼女はそう呟いた。…いや、訂正しよう。そう呟いた"つもり"だった。声が出なかった。自分の犯した罪の大きさと、自分の価値の無さ、無能さに絶望し、声が出さなかったのだ。血も涙も流せるのに、遂に言葉を発せなくなったのか。いよいよ末期だ、と彼女は少なからず感じたであろう。
 さて、冒頭場面に戻ろう。目の前に羅刹(らせつ)という、十三の時に出会い、今までの二年間ずっと彼女の屋敷に通いつめている鬼がいた。何度も言おう。彼は"鬼"であり、彼女は"人間"である。
 それをまあ二年間も彼は彼女を喰う事なく毎日毎日飽きもせず彼女の部屋の窓越しで屋根の上から毎晩話しかけていたのだ。ここから一つの誤解、言わば勘違いという奴だ。その現象が生じてしまうのも無理はない。それは何か?否、彼と彼女の関係性一択であろう。
 まず、彼女は彼の事を何とも思っていなかった。恋愛的な意味も、友人的な意味も、興味関心は皆無に等しかった。そもそも彼女は"人質"である。そんな毎晩夜中に窓からやって来る客に何かしらの感情を抱くほど彼女は"女の子"ではなかった。
 次に彼──羅刹は彼女の事をどう思っていたのか?この回答は非常に難しい。現時点では、"面白味の欠片も無い奴"である。最初、彼は彼女を喰おうと思って近づいた。何故なら彼女が"稀血"だったからである。彼女からは溢れんばかりの香りを漂わせていた。
 彼は一目見て確信した。喰ってやろう、と。彼女を喰えば確実に強さを手に入れる事が出来る、と。
 しかし一歩、また一歩と彼女に近づくと妙にその香りは急変した。


 ────危険な匂いがする。


 今、コイツを喰ったら確実に何かが起こる。それも、悪い方に。彼は頭が良かった。だから無理に彼女の血液に触れようとせず、彼女を喰う事を潔く諦めた。訳の分からない生物に関わっても良い事はない、そう思ったからだ。だから金輪際彼女に近づかないようにしようと考えていた。しかし、その考えは一瞬にして消え去ったのだった。


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うぇすとり?ぁー(プロフ) - 大ファンです!完結おめでとうございます!伏線回収も回想シーンも最高でした!自分はアザミちゃんが好きです。 (2021年10月3日 23時) (レス) @page48 id: 9275faa17d (このIDを非表示/違反報告)
ライアミ - めっちゃ泣けたヨ!布団がめちゃくちゃ濡れてんだけど……………ヤバいネ。感動をありがとアル!泣くことや笑うことはストレス発散になるからネ!終わりヨ! (2021年3月28日 1時) (レス) id: 2c479952a6 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 光華さん» コメントありがとうございます。光華さん、いつも自分の作品にコメントしてくださって、本当にありがとうございます!鬼滅作品を思う存分書いた後、すぐに銀魂復帰しますので、約束です! (2021年1月25日 0時) (レス) id: 611a77bbbd (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 完結おめでとうございます!次も鬼滅ですか!銀魂も鬼滅も好きなので!! 銀魂作品更新応援してます!何時までも待ってますんで、虚無感ゆっくり消化してください (2021年1月24日 18時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いくま | 作者ホームページ:http  
作成日時:2021年1月18日 20時

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