人質の育て方【不死川実弥】

夜中 ページ22

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お前、名前は？何で喋んねぇんだよ、変な奴だな
お前なんか他の人間と違う匂いがするんだよなぁ
血の匂いが違う、美味そうな匂いじゃない
悪い匂いがする、異臭と言ったらいいのか何と言うか

この部屋にも入れねえ
俺が弱いからか？いや違うな
きっとお前が異質だからだ
見えない結界を張られてるみたいだ
窓越しでしか近づく事が出来ないな

まあお前みたいな不味そうな血、喰う気が失せた
と言うか、お前ずっと黙って何してんだ？
喋れない？喋ったら怒られる？殺される？
な訳あるか、俺が人だった頃は思う存分外で遊び倒したぜ

そうだなあ、丁度お前くらいの歳だな
部屋から出してやるよ
怖がんな怖がんな、俺はお前を喰わねぇから
俺の予想だけど、多分どの鬼もお前を喰えねぇと思うぜ

だってお前の血、鬼が飲み込んだら多分逆に危険な気がするし
仕方ねぇな、じゃあ毎晩此処に来てお前の話し相手になってやるよ

あ？要らない？生意気な奴だな
閉じ込められてんだろ？この部屋に

何だその首輪、頑丈だなぁ
俺が噛みちぎってやろうか？ああそしたらお前の血を飲んじまう

じゃあいつかお前の部屋の中に入れたら俺が外してやるよ、似合わねぇよソレ
あ？やめとけ？いーや俺はやる
此処に住んでる人間共を殺してお前の首輪を外してやる、今決めた


また明日の夜来るぜ
じゃあな、人質の首輪ちゃん


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｢…｣

　なんだ、今の変な夢。誰だ？誰が俺に話しかけている？いや、これは俺に話しかけていない。俺に対して言ってない、しかもこれは今じゃない。何だ、何を見たんだ。上手く思い出せない、頭が痛い。
　時刻は真夜中だった。彼女と夕焼けを見て共に風柱邸に帰った俺達は飯を食い、風呂に入り、そのまま寝た。久しぶりの非番で、疲れも溜まっていたのかすぐに眠りに落ちた俺は何か夢を見ていたようだ。
　彼女は別室で寝ていた。いや、寝ているかは分からないが布団は一応敷いといた。流石に同じ部屋で寝るのは気が引けるからだ。
　妙に目が冴えてしまいそのまま俺は身体を起こした。彼女は今まだ寝ているのか、そう思いながら水を飲みに俺は台所の方へ向かった。
　水を飲んでいると俺の寝室の隣の部屋、即ち彼女が寝ているであろう部屋から音が聞こえた。カタン、というような戸が開く音。俺は奇妙に思いながら、彼女がいる部屋の前に立った。襖を開けようか開けまいか少し戸惑い考え込む。

｢…A？｣

　襖を開けると戸を開いて縁側で月を見ている彼女が居た。


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