親睦 ページ18
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「あ、ホラ。冨岡さんもAさんに何か言ったらどうですか」
「…」
今まで口を一切開かず、この柱の中で一番彼女と雰囲気が似ている冨岡義勇が俺の前に立った。彼女と話すには俺を挟むしか方法が無いと分かってはいるが、気の合わない冨岡が俺の目の前に立つ事に腹が立つ。
「冨岡ァ、俺の前に立つんじゃねェ」
「…(不死川の前に立たないと彼女と話せないから)断る」
「あ"ァ!?」
俺の言葉をフル無視し、冨岡は彼女の方へ顔を覗かせ話しかけた。
「…冨岡義勇だ」
顔を覗く様に近づいた為、彼女は少し眼を見開き驚いた素振りを見せたが一瞬にして冷たい表情に変わり冨岡とは別の方向に顔を向けていた。ガーンと言う擬音語が聞こえそうなくらい冨岡はショックを受けていてその場に固まっていた。ザマァねェな、コイツばかりは。
「心を全く開かない少女だ…南無」
悲鳴嶼さんが静かに手を合わせ呟いていた。
「よもや!今からでも薊美少女と親睦を深めるのはどうだろうか!」
煉獄の言葉に甘露寺や宇髄らが「良いな!」と言っていた。オイオイ、無視しかしてない彼女がそんなの同意する筈ないだろう。俺はふと彼女を見た。彼女の右手がまた強く俺の手を握っていた。まるで助けを呼んでいるかの様な、そんな風に俺は見えた。
彼女は俺の目を見た。最後に見た時より、眼は死んでいなかったし、眼の色も薊色というより赤色に近かった。初めて会った時と同じ黒い袴を着用しているが妙にその格好が似合っていた。黒髪に黒い袴は彼女の瞳の色を引き立てている様な役割だった。その黒髪も大方胡蝶に結ってもらったのか、綺麗に纏め上げていて青い薊の花の簪が左右に揺れていた。
「帰るか」
そう俺が言うと彼女はコクリと首を縦に振った。周りの柱達が「えぇー」とブーイングをしていたから睨み倒した。主に宇髄を。
「お前ら、コイツはまだ会話すらしてねェんだ。そんなの親睦会を開く以前の問題だろォ」
「酒が入ったら派手に喋るかもしれないだろ?」
宇髄がそう言ったが無視しといた。コイツの考えはやばい。
「不死川さん、ちょっとAさんに好かれているからって調子乗りすぎでは?」
胡蝶が黒い笑顔で俺を見た。いや怖っ。
「確かに一理ある!不死川は薊美少女に選ばれたから優越感に浸っているのだな!」
「は…!?ンな訳、」
「成る程な〜。まぁ今から同じ屋敷に住むんだから調子乗るのも無理ないわな〜」
「宇髄、テメェ…!」
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ほわ - はじめまして!読むの楽しいです!!もしかしてDECO*27さんの依存香炉の歌詞引用されてますか!?!? (2021年3月12日 10時) (レス) id: 67e3028028 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 芋けんぴさん» コメントありがとうございます。不死川さんのキャラ、書きやすそうで意外と書きにくい、掴みどころや考えてることが分からないような、、、そんな事をいつも考えながら書いてます笑作品を褒めて頂き嬉しい限りです!これからもこの作品をよろしくお願いいたします! (2021年1月18日 20時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 光華さん» コメントありがとうございます。確かに…共通点多いですよね、、、その姿にいつの間にか惚れてしまったのかもしれません…!もうすぐ続編へと移行しますので次の作品もよろしくお願いいたします! (2021年1月18日 20時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - 初コメント失礼します。私も鬼滅だと不死川さん推しです。不死川さんのキャラを殺さず、丁寧に物語を紡いでいるところにとても惹かれました!今から続きを読ませていただきます!! (2021年1月18日 1時) (レス) id: e6e71631e0 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - はわわわ 感激です! 鬼滅だったら不死川さんなのわかります!護る為に大切な人を突き放すところとか何か共通点があって土方さんと似てないけど似てるんですよね。(結局垢名前垢と同じ) 作品更新応援してます! (2021年1月17日 17時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)
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