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任務 ページ2

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 それはいつも通りの任務だった。俺は鎹鴉に任務場所を伝えられとある大きな屋敷に出向いた。西洋の造りの立派な屋敷から血の匂いがプンプンする。出遅れたか、と思いながら走って屋敷の中へ侵入し、鬼の居る部屋まで走った。
 扉をバンッと開けるとそこにはこの屋敷の主人である家族の死体が転がり、それを喰ったであろう鬼が立っていた。すかさず俺は刀を抜き「風の呼吸 壱ノ型 塵旋風・削ぎ」と呼吸を整え目の前の鬼の頸を斬る。鬼の頸からは大量の血が溢れ返り、周りを汚した。

「…!」

 鬼が倒れたと同時に先程まで鬼の影に隠れていて気が付かなかった一人の影を見つめた。女だった。俺と歳があまり変わらない、一人の女がそこに座り込んでいた。顔は多分俺が今斬った鬼の返り血がモロに被ってしまった様で、顔中が血だらけだった。首を締め付けられていたのか赤黒く染まっていて、それ以上に首に妙なモノをつけている彼女は驚く様子もなく、ただ無表情で俺の顔を見つめていた。

「…この家の者かァ」

 俺はそう聞くと彼女は首を横に振った。この家の者ではない。なら客人だろうか。俺は血だらけになった彼女の顔を自分の白い羽織で拭き、そのまま手を差し伸べた。

「立てるか?」

 彼女はまた首を横に振った。事の状況がまだうまく飲み込めていないのか、喋ろうとしない。しかし彼女の様子は鬼に出会した一般市民の困惑や恐怖等といった当たり前の様子とは打って変わって、全く何も感じていない様な…まさしく"無"の様子であった。立てないのなら無理やり立たすしかない、そう思いながら俺は彼女の手を取り、持ち上げた。が、その時。

───ジャラ、
そんな鎖の音が聞こえたのは彼女の手を引っ張ってからの出来事であった。先程から気にはなっていた彼女の首に巻き付かれていた鉄製の"モノ"に繋がれていた鎖が静かに音を鳴らせた。

「…何だよ、コレ」

 彼女は黙って遠くを見ていた。まるでこの自分の姿が当たり前の様な、そんな表情で遠くを見ていた。彼女の首に巻き付けられていたのは、間違いなく"首輪"であった。それも鉄製の。そしてうなじの部分、即ち首輪の後ろ側にはご丁寧に引っ掛け部分がありそこから頑丈な鎖が繋がれ、この部屋の柱に綺麗に繋がれていた。
 まるで彼女を人間の扱いとしない様な、そんな感じだった。今まで敵は鬼のみと考えていた俺の思考は一気に困惑へと変わった。鬼の仕業か?いや、こんな事をする鬼なんざ見たことがない。血の気が引いた。

状況→←風柱



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ほわ - はじめまして!読むの楽しいです!!もしかしてDECO*27さんの依存香炉の歌詞引用されてますか!?!? (2021年3月12日 10時) (レス) id: 67e3028028 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 芋けんぴさん» コメントありがとうございます。不死川さんのキャラ、書きやすそうで意外と書きにくい、掴みどころや考えてることが分からないような、、、そんな事をいつも考えながら書いてます笑作品を褒めて頂き嬉しい限りです!これからもこの作品をよろしくお願いいたします! (2021年1月18日 20時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 光華さん» コメントありがとうございます。確かに…共通点多いですよね、、、その姿にいつの間にか惚れてしまったのかもしれません…!もうすぐ続編へと移行しますので次の作品もよろしくお願いいたします! (2021年1月18日 20時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - 初コメント失礼します。私も鬼滅だと不死川さん推しです。不死川さんのキャラを殺さず、丁寧に物語を紡いでいるところにとても惹かれました!今から続きを読ませていただきます!! (2021年1月18日 1時) (レス) id: e6e71631e0 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - はわわわ 感激です! 鬼滅だったら不死川さんなのわかります!護る為に大切な人を突き放すところとか何か共通点があって土方さんと似てないけど似てるんですよね。(結局垢名前垢と同じ) 作品更新応援してます!  (2021年1月17日 17時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いくま | 作者ホームページ:http  
作成日時:2021年1月15日 15時

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