体幹 ページ38
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彼女が、俺と同じ"稀血"。しかし、俺の血は鬼をおびき寄せ鬼が好む血。一方、彼女の血は鬼から離れて鬼が嫌う血。
「…好都合じゃねェか」
その異能力のおかげで彼女は絶対鬼と遭遇する事がない。鬼と関わる事が絶対有り得ない。むしろ有難いことだ。彼女が鬼と離れてくれるなら俺にとっちゃ万々歳だ。
「……ッ、」
万々歳な筈なのに、なんで。なんで俺はこんなに嫌な気持ちになってんだよ。
「クソ…ッ!!」
一体どうすればいいんだよ。そんな事を考えているうちに、自分の屋敷に辿り着いたようだった。
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「…何してんだ、A」
屋敷に着いて早々俺は目を大きく見開いた。玄関で履物を脱ぎ、居間に入った瞬間、彼女が天井にぶら下がっていた。
「……は?」
彼女は俺が帰ってきた事に気づいてなかったようで、俺と目が合った瞬間、天井から落下した。ドスン!と床に転がり、彼女は汗をダラダラとかきながら目を逸らしていた。
「……オイ、A」
「…」
「有り得ねェと思うが…まさか今まで起きてたって訳じゃねェよなァ?」
自分でも分かる位のドス黒いオーラを放ちながら俺は彼女に話しかけた。彼女は目を泳がせて汗をダラダラかきながら首を横に振っていた。
「見え見えなんだよォ!!!!お前あれほど寝とけって言ったのにィ!!!」
俺は怒りに溢れかえって彼女の頬を強く引っ張った。彼女は流石に焦ったのか「…ごめん、なひゃい、」と言っていた。いちいち可愛いんだよクソが。
「…ったく、ていうかなんで天井からぶら下がっていたんだァ?お前そんな体幹良いのかよ」
彼女の頬を引っ張りながら天井の方を見つめた。天井には引っ掛け部分が二つあり、そこに両足を器用に引っ掛けてぶら下がっていたのだろう。俺でも出来ねェぞ、そんな事。
「…」
不意に彼女と目が合う。無意識にほっぺをつねっていたから、俺と彼女の顔は近かった。
「…A、」
「実弥」
「!」
彼女は自分の頬を掴んでいる俺の手をどかせて、立ち上がった。俺は何だ何だと思いながら立ち上がった彼女を見つめていた。
「…」
するの彼女が急にジャンプをした。高くジャンプをしてクルッと一回転、そしてそのまま床に右手だけ付けて脚を上に、逆立ちの形へ。
「…な、にしてんだ」
「…」
チラッと俺の方を見て彼女はまた床に着けている右手を離し、そのままバク転。ピシーッと真顔で決めポーズ彼女はまたしても俺を見ていたのだった。
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ほわ - はじめまして!読むの楽しいです!!もしかしてDECO*27さんの依存香炉の歌詞引用されてますか!?!? (2021年3月12日 10時) (レス) id: 67e3028028 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 芋けんぴさん» コメントありがとうございます。不死川さんのキャラ、書きやすそうで意外と書きにくい、掴みどころや考えてることが分からないような、、、そんな事をいつも考えながら書いてます笑作品を褒めて頂き嬉しい限りです!これからもこの作品をよろしくお願いいたします! (2021年1月18日 20時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 光華さん» コメントありがとうございます。確かに…共通点多いですよね、、、その姿にいつの間にか惚れてしまったのかもしれません…!もうすぐ続編へと移行しますので次の作品もよろしくお願いいたします! (2021年1月18日 20時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - 初コメント失礼します。私も鬼滅だと不死川さん推しです。不死川さんのキャラを殺さず、丁寧に物語を紡いでいるところにとても惹かれました!今から続きを読ませていただきます!! (2021年1月18日 1時) (レス) id: e6e71631e0 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - はわわわ 感激です! 鬼滅だったら不死川さんなのわかります!護る為に大切な人を突き放すところとか何か共通点があって土方さんと似てないけど似てるんですよね。(結局垢名前垢と同じ) 作品更新応援してます! (2021年1月17日 17時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)
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