47 ページ47
.
表彰式が行われた。と、その前に相澤先生が私の元に駆け寄りとある指示を出してきた。私はその内容を聞くと同時に猛烈に顔を顰めたが全くその表情に対して目もくれず先生は立ち去った。
隣に居た切島が「何か頼まれたのか？」と聞いてきたのでしかめっ面のまま私は頷いた。
「爆豪が目覚めたら絶対暴れるから念力で制御させろ、と」
「あー、確かにアレは暴れるな。頑張れよ志村！」
「……何を頑張るんだよ」
盛大な溜息と共に私は肩を落とした。A組ヒーロー科にも関わらず初戦敗退した罰だと言われるとぐうの音も出ない。私は渋々救護室に向かいぐっすりと眠っている爆豪に個性をかけた。
────そして、現在に至る。
皆がドン引きの視線を送る中、私は表彰台に立つ三人の姿を見ながら全神経を手先に集中させ爆豪を押さえつけていたのだ。想像を超える暴れ具合に手こずってしまい爆豪は拘束されたがそれでも爆破の個性で破壊されそうになるのを防ぐため私は念力をかけ続けた。
オールマイトによるメダル授与式に移る。飯田は諸事情により早退したので常闇からのメダル授与になった。オールマイトが一人一人に講評を行いメダルを首にかけられる。そして轟、最後は勿論爆豪だ。全力で拒否りながらも私の念力により無事メダルは渡された。
「さァ！今回は彼らだった！しかし皆さん！この場の誰にも
オールマイトの言葉が皆の心に刻まれていく。皆が皆、主人公だと。ヒーローになれる、と。
いや、なれない。皆がヒーローになれる訳がない。
現実は甘くない。それが叶えば苦労しない。
「……」
こんな黒い感情が渦巻く中で、私は
こうして体育祭は、無事に幕を閉じたのだった。
.
教室に戻り相澤先生の連絡事項を聞いて下校となった。明日明後日は休校らしい。プロからの指名等を先生方がまとめ休み明けに発表するようだ。皆が教室から出て行った時に相澤先生に話しかけられた。私は嫌な顔をしたまま振り向き「……はい」と返事をする。
「そう嫌な顔をするな」
「もう雑用は嫌ですよ。特に爆豪関連の」
「それは悪かったと思ってる。話はそれじゃない。……お前の『家族』の事だ」
歯車が、動き始める。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 742人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
麗葉 - とても面白かったです！空白があると読みやすいかなと思います！ (6月19日 14時) (
レス) id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - レオさん» コメントありがとうございます。夢主の過去は後に出てきますので暫くお待ち頂けると幸いです。これからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - eggちゃんさん» コメントありがとうございます。更新頻度をあげられるよう全力を尽くしますのでこれからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - のむさん» コメントありがとうございます。ファンになって頂けるなんて光栄です。これからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 猫さん» コメントありがとうございます。これからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
