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話は終了したようで、気が付けば轟と緑谷はもう居なくなっていた。しかし目の前には爆豪が居る。そしてその手はご丁寧に私の体操服、いや、胸ぐらといった表現が正しいだろう。私は爆豪に胸ぐらを掴まれもう少しで爆破される寸前までの状況に巻き込まれていた。胸ぐらを掴まれるのは入学式以来だった。
「オイてめぇ…。言ったよなぁ、手ェ抜くなって」
「手を抜いていたなんて証拠はなかった筈だ。実力不足で予選敗退になった。ただそれだけの話だろ」
「ほざくんじゃねぇ！！てめぇの実力だったら予選通過どころか上位になれるレベルだろうがァ！！」
何故彼は怒りながら私を褒めるのだろう。そんな呑気な事を考えつつ私は胸ぐらを掴んでいた彼の手を抑えて無理やり引き離す。首元を触りながら呼吸を整えて私は爆豪の方に顔を向けた。確かに爆豪の言う通り、私は手を抜いた。本気を出せば
だからこそ嘘をつかなければならない。今ここで「はいそうです。本当は手を抜きました。私は貴方達よりも優れた個性を持っているので本気を出せば一位になれます」なんて事をほざいてみたとしよう。それこそ私は最低の人間になってしまうだろう。皆が必死に頑張っている中、私は頑張らず口だけの愚者となる。そんな人間になんてなりたくない。まだ私はヒトでありたい。
「体調も悪かった。本当だ。…午後の競技が始まるぞ。私なんかの相手をしなくていいから。もう行った方がいいよ」
比較的穏やかな口調で言ってみたがやはり爆豪は怒りの絶頂に達したままだった。またしても私の胸ぐらを掴んで顔面を爆破しようと突っかかって来たのでやむを得ず私は念力を使い彼を浮かせて控え室の方に連れていった。私がドン引きするくらい彼は暴れまくったが、何とか部屋に辿り着き彼を押し込んで全力で逃げた。その際爆破を二、三発くらった。
観客席に行く途中で緑谷に遭遇した。彼は轟と話していた時とは打って変わったいつもの優しい表情で私に話しかけてきた。
「体調が良くないって聞いたけど…大丈夫？」
「緑谷が気にする事じゃない。午後も頑張って」
「……う、うん」
上っ面だけの笑顔を貼り付けて私はそう答えた。多分彼は分かっている。私のこの笑みが表面上で、本当は全く応援なんてしていない事に。そして仮病を使っている事に。
私は、緑谷出久が苦手だ。
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麗葉 - とても面白かったです！空白があると読みやすいかなと思います！ (6月19日 14時) (
レス) id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - レオさん» コメントありがとうございます。夢主の過去は後に出てきますので暫くお待ち頂けると幸いです。これからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - eggちゃんさん» コメントありがとうございます。更新頻度をあげられるよう全力を尽くしますのでこれからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - のむさん» コメントありがとうございます。ファンになって頂けるなんて光栄です。これからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 猫さん» コメントありがとうございます。これからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
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