12 ページ12
.
コスチュームに着替えて演習場に到着する。その際視界に見慣れたツンツン頭を目撃するが特に話しかける事もなく授業は開始された。──と、思いきや爆豪はくるりと後ろを振り返りギロリと私の格好を隈なく睨みつけては鼻で笑っていた。何がおかしいのか私には理解出来ない。が、深く干渉してもロクなことがない事は重々承知のためあえてスルーする。しかし無視をされる事により爆豪は倍私に突っかかって来るのだ。その事を踏まえるとやはり爆豪のコスチューム姿に何かしらの感想を伝えた方がまだマシなのかもしれない。爆豪という人間はこんなにも面倒臭いのか、考えれば考えるほど溜息が止まらない。
「…強そうな衣装だな」
「ハッ、テメェの格好はどこぞのサラリーマンだな。手袋まで嵌めやがって暑苦しいわ」
どこぞのサラリーマンでも何でもいいから私に突っかかるのは辞めて欲しいと言おうとしたが、顔面に爆破されるのが目に見えていたので心の奥にしまっておいた。
授業が開始された。オールマイトの説明を受け、「ヒーロー組」と「敵組」に分かれて二対二の屋内戦を行う事となった。しかしクラスの人数が二十一人と奇数になってしまう為、誰かが二度戦闘に参加しなければならなかった。立候補すればその分内申点を付け加えると言っていたので殆どの生徒が手を挙げていた。
ペアはくじ引きとなった。私が引いたくじはJ。ペアを探そうと辺りを見渡していると後ろから「志村、Jか？」と声をかけられた。振り返ると入学式の時に少し話した切島鋭児郎という男が立っていた。聞く所によると切島の個性は「硬化」らしい。防御に徹したその個性と遠距離戦を得意とする私の個性、ペアを組むには少々難アリである。
そうこうしているうちに最初の対戦相手が発表された。オールマイトがチームを言い放った瞬間、思わず私の目が見開いた。何と緑谷・麗日チームの相手が爆豪・飯田チームだったからだ。他の生徒達はモニタールームに案内され戦いを観察する事となっている。私は緑谷と爆豪両方に視線を送った。どう戦うのかは分からないが爆豪は容赦しないだろう。そう考えるとペアじゃなくて良かったと心から思う。
訓練が始まった。予想通り爆豪はいきなり緑谷に奇襲を仕掛けた。生徒達も爆豪の動きに圧倒されている。隅の方で私も静かにモニターを傍観していた。爆豪の苛立ちがMAXを超えている様に見える。
戦闘において、ひとつ言える事がある。
冷静さを失えば、絶対に負ける。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 742人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
麗葉 - とても面白かったです！空白があると読みやすいかなと思います！ (6月19日 14時) (
レス) id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - レオさん» コメントありがとうございます。夢主の過去は後に出てきますので暫くお待ち頂けると幸いです。これからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - eggちゃんさん» コメントありがとうございます。更新頻度をあげられるよう全力を尽くしますのでこれからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - のむさん» コメントありがとうございます。ファンになって頂けるなんて光栄です。これからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 猫さん» コメントありがとうございます。これからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
