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マフラーを引っ張られながら顔を爆豪の方に嫌々ながらも向けた。この時初めて私は爆豪勝己という人物と会話をする事となったのだ。一応、小中全て同じクラスだったが話した事はない。それは私に友達が居ないからだ。作ろうとしていないので気にしていない。
先に口を開いたのは爆豪だった。私はそれを黙って聞いていた。まず「テメェの個性はなんだ」と聞かれたので「念力」と答えた。記念すべき、初めて交わした言葉だ。念力と聞いた瞬間、彼は眉を顰めた。気に食わなかったのか、手に小さな爆発を起こさせて俺の方が強いと聞いてもいないのに自慢していた。もう帰りたかった。
「テメェに助けられたつもりはねェ。いいか、俺はテメェに助けられてなんかねえ」
その通りだ。私はそう答えた。すると爆豪は呆気に取られた様な顔を浮かべたと思いきや、すぐにまた青筋を浮かべていた怒鳴り出した。
「馬鹿にしとんのかテメェ！本当は内心笑ってンだろ！」
「馬鹿なんてしてないし、私は爆豪を助けたいつもりはない。ただ敵が嫌いなだけだ」
敵という言葉を発するだけで嫌な気分になった。私はそれくらい敵の存在が憎いのだ。爆豪はまたしても何か言い返そうとしたが、諦めたのか急に無言になって舌打ちだけされた。
「……二度と俺に話しかけンな」
「ああ、わかった」
そう言った私はぐしゃぐしゃにされたらマフラーを整えて自宅の方へ足を運んだ。元々爆豪に話しかけるつもりなんてないし今後関わる事もない。ただ同じ教室で同じ空気を吸って同じ授業を受けるだけの仲だ。そこに友情なんてない。私は爆豪に背を向けて白い息を吐く。明日も多分冷え込むだろう。
あれから爆豪とはめっきり会話をしなくなった。元々私は無口だ。誰とも話さず学校を帰る日しかない。緑谷とも会話を交わしていない。あの事件以降、爆豪は急に大人しくなった。あの一件で何かしら心の変化があったのだろう。一方緑谷の様子もおかしかった。ブツブツと何かを唱えたり、制服が少しキツそうに見えた。寝不足なのか隈も少々目立っていた。
私は進路希望調査書を担任に提出した。担任は少し驚いた様子を見せていたがすぐに笑顔になり「お前なら大丈夫だろう」と言ってくれた。何も知らない大人の癖に褒める時は一丁前に褒めるのだな、という皮肉的な意味も込めて私も微笑し返した。
そして月日はあっという間に流れて遂に志望校の一般入試実技試験の日がやって来た。そう、あの有名な──雄英高校の。
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麗葉 - とても面白かったです！空白があると読みやすいかなと思います！ (6月19日 14時) (
レス) id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - レオさん» コメントありがとうございます。夢主の過去は後に出てきますので暫くお待ち頂けると幸いです。これからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - eggちゃんさん» コメントありがとうございます。更新頻度をあげられるよう全力を尽くしますのでこれからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - のむさん» コメントありがとうございます。ファンになって頂けるなんて光栄です。これからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 猫さん» コメントありがとうございます。これからもこの作品をよろしくお願いいたします。 (2021年12月14日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
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