第5章 ただのクソゲー ページ10
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「何故煉獄先生が此処に?」
「諸事情だ」
「なるほど」
時刻は放課後、場所は美術研究室。ホワイトボードの前にある椅子に正しく座る志崎の前に佇む二つの影。その影の主は勿論、俺と煉獄杏寿郎。
「じゃあ俺からも質問いいか、志崎」
「どうぞ」
「何で隣に伊黒が居るんだよ」
「諸事情です」
「なるほど〜…じゃねえよっ!」
「ナイスノリツッコミ!」
煉獄がガッツポーズと共にそう言った。すかさず俺は煉獄を睨み倒す。余計な事を言うんじゃない、と。
「てか、何で伊黒も黙って着いてきたんだよ」
「勘違いするな。俺は志崎にひとつ借りがあるから仕方なく来たまでだ。じゃなきゃこんなとこノコノコ着いて来ない」
「さりげなく美研をこんなとこ呼ばわりすんなよ。あと俺先生な」
志崎が連れて来た男、二年一組の生徒である伊黒小芭内。つまり俺の生徒である。常にマスクを装着し、女嫌いで有名なこの男。二組の甘露寺蜜璃と付き合っている噂が俺の耳にも届いた事があったが真実は分からずじまいである。
「昨日伊黒くんと一緒にこれをやり込みまして」
そう言いながら半分ドヤ顔で志崎はとあるゲームソフトを俺に差し出した。
「いや先生にゲーム勧めんなよ」
「これは立派な教科書です。恋愛の」
そう言われて受け取り、その中身を確認する。が、まさかの乙女ゲームであり俺は思わず吹き出した。
「何だよこれ、『甘党男子とバチくそきゅん締めベイビー』ってもうタイトルから既にクソゲー臭漂わせてるけど大丈夫?」
「今年イチ売れた乙女ゲームらしいです」
「うん日本大丈夫?」
こんな訳の分からんタイトルのゲームが今流行ってるというのか。世間は末期なのか。飢えているのか。とりあえず分からん。
「てかこれ志崎の?」
「いえ借り物です」
「あー、だから伊黒呼んだのか」
「むいくんから借りました」
「伊黒じゃねえのかよ。てか誰だよ」
「後輩の時透無一郎くんです」
「いや後輩からクソゲーパクんな」
いよいよ伊黒が此処にいる意味がよく分からなくなってきたが、もうこの際どうだって良い。志崎に恋愛スキルを向上させれば俺の役目はもう終わりなのだ。もう黙って医者になってくれないかなコイツ。
「とりあえずこのゲームの主人公、
「我地甘斗のガチ甘党っていうネーミングセンスと何で時透が乙女ゲー持ってんのかというツッコミはなし?」
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いくま(プロフ) - 紅乱さん» コメントありがとうございます。返信が遅くなってしまい申し訳ございません。表現力や語彙力はまだまだ乏しい段階ではございますがこんなにも褒めていただき光栄です本当にありがとうございました、、!! (2022年4月8日 13時) (レス) @page49 id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
紅乱(プロフ) - 月並みな感想になってしまいますが本当に本当に面白かったです!作者様の語彙力、表現力が凄まじいのもあり完全に時間を忘れて物語にのめり込んでしまいました。素晴らしいお話をありがとうございました!! (2022年2月25日 16時) (レス) id: f1236c4d6f (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - ぽてちさん» コメントありがとうございます!!そして面白いと言っていただき本当に嬉しいです😭最後のイラストまで見ていただいて、、、落書き程度のイラストですが本当にありがとうございます。ギャグ線全開の夢主でしたが、最後までお付き合い頂きありがとうございました、、! (2022年2月8日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 光華さん» 光華さん!お久しぶりです!!そしてコメントありがとうございます!いつも読んでくださって嬉しい限りです😭いつもありがとうございます、、! (2022年2月8日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 雪見だいふくさん» コメントありがとうございます!そして最後までお読み下さり本当にありがとうございました!恋愛よりもギャグをとったこの作品でしたが、楽しんでもらえて光栄です!!!😭 (2022年2月8日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
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