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「でも!!!!こんなクソ真面目で話もバカみたいにつまらん地味でガリ勉女なんかと放課後にお茶をしてくれる不死川くんは!!世界一優しくてかっこよくてデキる男なんですよッッ!!!!」
バン!と行儀悪く音を立ててその場に勢いよく立ち上がる。今更ながら手の平がじんわりと痛くなった。あと普通に周りの視線も痛い。色んな意味で至る所が痛い。
言いたい事を言い切った私は無言に戻ってしまい、そしてこの恥ずかしさといたたまれない気持ちを自身の頭で整理した後、おずおずとその場に腰を降ろした。何なら少しだけ縮こまった。恥ずかしい。
「……まぁ、そんな、感じ、ですね、…はい」
「声ちっさ」
身体をこれでもかというくらい小さくさせて、顔を俯かせ、なるべく彼の顔を見ないようにしながら掠れ声を発した。その声もまあ何とも言えないダミ声で聞こえるか聞こえないか分からないくらいの声量である。
案の定不死川くんは目を大きく見開き、あっけらかんとした様子で私を見つめていた。ああそんな目で私を見ないで下さい。何ならもうこの場でお会計して出て行って貰って大丈夫です。というか私がお金出したいです。
「……ごめんなさい」
「何で謝ンだよ」
「いやもう…色々といたたまれない」
しくしくと顔を両手で隠しながら私は呟く。推し、好きな人、生き甲斐。様々な表現の仕方があるが何にせよ特別な人である事に変わりはない。そんな彼の前でクソだとかバカとか汚い言葉を投げた挙句、告白まがいの言葉まで発してしまうなんて。もう終わりだ。ゲームオーバーだ。宇髄先生ごめんなさい。参考書読んでも実践は無理でした。アーメン。
合掌しながら私は一人昇天していると、目の前の彼は「おい一人でどっか行こうとすんな」と私の額をトントンと叩いた。え、触って貰えたんですけど死ぬ。
「志崎はつまんねェ奴じゃねェよ」
「……え?」
「俺はつまんねェ奴と放課後は過ごさねェ」
フッと笑って、頬杖をついて。そんな優しい笑顔でこちらを見つめられたら、もはや息をする暇もない。彼はなんてずるい人なのだろう。私はとうの昔に彼に堕ちているというのに、それを既に知っていてもおかしくはないのに、なのに彼という人はそれを口実にまた私に対して優しさを振りまく。こんなずるい人、見た事がない。
「…ずるいですよ、不死川くん」
「ずるかねェよ。まずは仲良く、オトモダチから始めようかァ?」
「あ"あ"あ"あかん"」
こやつ気づきおった。好き。
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いくま(プロフ) - 紅乱さん» コメントありがとうございます。返信が遅くなってしまい申し訳ございません。表現力や語彙力はまだまだ乏しい段階ではございますがこんなにも褒めていただき光栄です本当にありがとうございました、、!! (2022年4月8日 13時) (レス) @page49 id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
紅乱(プロフ) - 月並みな感想になってしまいますが本当に本当に面白かったです!作者様の語彙力、表現力が凄まじいのもあり完全に時間を忘れて物語にのめり込んでしまいました。素晴らしいお話をありがとうございました!! (2022年2月25日 16時) (レス) id: f1236c4d6f (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - ぽてちさん» コメントありがとうございます!!そして面白いと言っていただき本当に嬉しいです😭最後のイラストまで見ていただいて、、、落書き程度のイラストですが本当にありがとうございます。ギャグ線全開の夢主でしたが、最後までお付き合い頂きありがとうございました、、! (2022年2月8日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 光華さん» 光華さん!お久しぶりです!!そしてコメントありがとうございます!いつも読んでくださって嬉しい限りです😭いつもありがとうございます、、! (2022年2月8日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 雪見だいふくさん» コメントありがとうございます!そして最後までお読み下さり本当にありがとうございました!恋愛よりもギャグをとったこの作品でしたが、楽しんでもらえて光栄です!!!😭 (2022年2月8日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
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