絶対に医者にさせたい先生VS絶対に結婚したいヒロインVS何も知らない男

第7.5章 番外編 宇髄先生の憂鬱 ページ19

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　ゲームは好きか、嫌いか、と聞かれたらその真ん中の部類に入っていた。では次にゲームは得意か苦手かと聞かれたら得意の部類に属していた。
　学生時代、放課後になるとよく友達の家で対戦ゲームをした記憶がある。大抵やり込めばやり込むほど当たり前の様に指が慣れていき、そうして全クリへの道が開かれるのだ。俺は下手ではない。それなりに出来てそれなりの結果を残すタイプであった。───が、流石にこんな仕打ちはないだろうよ神様。
　それなりのゲームをそれなりにやり込み、それなりの結果を残してきた俺が、とても可愛い子に告られ、とても綺麗な女に口説かれ、とても女絡みが激しい人生を送ってきた俺が何故乙女ゲームでボロボロにならなきゃならんのだ。なあ神様よ。

「だからと言って買う事はねーだろ神様よ」

　時はとある休日、日曜日。朝シャン浴びて、二日酔いの頭を麻痺させる為に珈琲を流し込み、外に出た。向かうが先は、某電気屋。
　家に戻り、袋から買ってきたゲーム機を取り出す。その表紙にでかでかと書かれていたのは何度も見たお決まりのタイトル。
　『甘党男子とバチくそキュン締めベイビー』というクソゲーをご存知だろうか。ちなみに俺は最近知った。嘘だ、最近どころの話じゃない。昨日知った。
　昨日だ。昨日だぞ。イエスタデイだぞ。そのクソゲーを昨日今日でまさかの購入したんだぞ。どうなってやがる俺の頭は。馬鹿なのか、遂に飢え始めたのか。やめてくれ一応俺はモテ男として通っているんだキャラ崩壊も大概にしろ馬鹿野郎。

「……」

　我に返るな。これはアレだ。血迷ったのだ。今ここでもし俺が冷静になり、一人暮らし成人美術教師が休日二日酔いの身体のまま電気屋でクソゲーを購入したという現実を理解してしまったら多分世界は終わる。終わらなくとも俺が終わらす。
　ちなみにゲームキャラクターの説明をしよう。このゲームのイケメンキャラは全員甘党である。タイトル通り甘党男子とバチくそでキュン締めされる恋を楽しむのだから。異論は認めない。
　まずは主人公である我地甘斗(がちあまと)だ。名前の通りガチの甘党らしい。なるほど意味わからん。
　そして誰もが羨むエリート、間痔眼金(まじめがね)だ。名前の通りマジのメガネだが度は入っておらず伊達眼鏡で痔持ち。うーんしばきたい。
　最後はヤンチャ系超根子下(ちょうねこじた)。名前の通り猫舌だけど犬派だ。とりあえずコントローラー投げた。

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