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「し、不死川くん!」
少々声が裏返ったかもしれない。緊張のせいで手が少々汗ばんでいる気がする。そんな余計な事を考えながら彼の背中がこちらへ振り向くのをジッと見ていた。
「ん?」
「あ、…あの、……おはようございます、不死川くん」
言った。遂に言えた。第一ステップである挨拶を私はクリアする事が出来たのだ。先生見ていますか、多分そこら辺の壁に貼り付いて私の有志を見守っていますよねきっと。派手派手に私やりましたよ、チキりませんでしたよ。
心の中でガッツポーズをし、不死川くんの方へ顔を向ける。私の頬は化粧もしていないのに赤く染まり、あと数秒遅かったら鼻血を大量発射していた事だろう。もう既に彼の目の前で鼻血は発射している為、それは何としても避けなければならない。だって女の子だもの。どの口が言うとか言わないで下さい。
すると当の本人である不死川くんは目を大きく見開いたと思いきや、盛大に吹き出して笑い始めた。何が面白いのか全く理解出来ない。どうしたのだろうか。やはり私ごときが不死川くんに朝の挨拶をするなんて厚かましすぎたかもしれない。どうしよう指詰めか切腹の選択肢しか思い浮かばない。
「す、すまねェ…あまりにも真剣な顔してたからッ」
「わ、私は常に真剣です!」
不死川くんの笑顔が国宝級過ぎて思わず眼球が飛び出そうになったが必死に両眼を抑える。出たら駄目だぞ。待て。ウェイト。
「面白いな、志崎って。おはよォさん」
クク、と。喉を震わせる様な笑い方で彼は笑っていた。そして私に小さく手を振って教室へ入っていったのだった。今私に手を振った。彼が私に向かってファンサしてくれた。何で自分の両目は録画機能が付いていないのだろう無理死にたい。
「…………尊いッッッ!!!」
全ての感情が最大限まで達してしまった私がやっとの思いで出た言葉がこの一言であったのは言うまでもない。全米が泣いた。いや全私が泣いた。今なら不死川くんの細胞よありがとうというタイトルで原稿用紙百枚は感想文書ける。なんなら本出せる。重版いける。私が買う。
「もう無理尊。ありがとう世界。あーめん」
〜おまけ〜
「先生私不死川くんにおはよう言えました。頭ポンポンされました」
「おー朝から良い夢見れて良かったな〜」
「いや現実です。触れるヤツです」
「おーお前遂に3D眼鏡買ったのか〜良かったな〜」
「先生流石にはっ倒していいですか」
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いくま(プロフ) - 紅乱さん» コメントありがとうございます。返信が遅くなってしまい申し訳ございません。表現力や語彙力はまだまだ乏しい段階ではございますがこんなにも褒めていただき光栄です本当にありがとうございました、、!! (2022年4月8日 13時) (レス) @page49 id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
紅乱(プロフ) - 月並みな感想になってしまいますが本当に本当に面白かったです!作者様の語彙力、表現力が凄まじいのもあり完全に時間を忘れて物語にのめり込んでしまいました。素晴らしいお話をありがとうございました!! (2022年2月25日 16時) (レス) id: f1236c4d6f (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - ぽてちさん» コメントありがとうございます!!そして面白いと言っていただき本当に嬉しいです😭最後のイラストまで見ていただいて、、、落書き程度のイラストですが本当にありがとうございます。ギャグ線全開の夢主でしたが、最後までお付き合い頂きありがとうございました、、! (2022年2月8日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 光華さん» 光華さん!お久しぶりです!!そしてコメントありがとうございます!いつも読んでくださって嬉しい限りです😭いつもありがとうございます、、! (2022年2月8日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 雪見だいふくさん» コメントありがとうございます!そして最後までお読み下さり本当にありがとうございました!恋愛よりもギャグをとったこの作品でしたが、楽しんでもらえて光栄です!!!😭 (2022年2月8日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
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