訪問 ページ8
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─────時は少し遡る。
神崎A達がカフェで勉強会という名の女子会を開いていた時、不死川宅に1人の男が訪問した。
「おじゃましまーす」
「保育園に迎え行かなきゃならねェから少しだけだぞ」
「分かってるし俺もお迎え手伝うぜ」
そう言いながらその男──宇髄天元はイケメンスマイルを振りかざす。何故宇髄が俺の家に来たのかと言うと、そんな事言わなくても何となく察していた。
大方アイツの話だろう。早いうちに聞かれるとは思っていたし、俺も話すつもりだった。宇髄とは高2から同じクラスで仲がよかったし、普段はふざける奴だが真面目な話となると周りの奴らより信頼度は高い。意外と良い奴なのだ。まァ本人には死んでも言わないが。
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「緑茶でいいかァ」
「ん、何でもいいぜ」
茶を淹れて宇髄に出す。冷蔵庫を見ても甘味類はあるがどれも妹や弟の名前付きの紙が貼ってあり、兄弟が多い一家あるあるで名前付きの物は食べてはいけないルールがあるのを俺は知っていた為、黙って冷蔵庫を閉じた。
「わり、何も無かったわ」
「構わねぇよ、お前と話すのが目的だからな」
そう言って俺はテーブルを挟んで宇髄の前に腰を下ろした。宇髄は俺が座ったと同時に話を始める。
「まぁ、何となくお前も分かってんだろ?俺が聞きたい事」
「……まァなァ、隠すつもりはねェよ。全部話す」
「ありがとな。で、……Aと何があったんだ?」
直球にそう質問する宇髄。宇髄風に言うならド派手にストレートな言葉。変に気を使おうとしない所がコイツらしいなと思い少し鼻で笑う。
「─────……キス、しちまった」
「は?」
俺が控えめにそう言うと宇髄はあっけらかんとした表情で間抜けな声を出していた。その反応に耐えられなくなった俺は少し頬を染めてしまう。
「は?キス?どゆこと?え?不死川が?」
「だァ"ーッ!うるせェなァ!そうだよ!アイツに腹立って無理矢理キスしちまったんだよ俺はァ!」
声を荒らげて俺はそう言った。思い返すと俺はなんて最低な事をしてしまったんだろうと冷静に後悔する。
「お前……俺の想像の3倍くらいド派手な事したな」
「…分かってるよ、自分でもやらかしたって事くらい」
思わず溜息をつく。やった事は仕方ないかもしれないがかなり後悔をしている。今までアイツの隣に居てきたこの"保護者"という立ち位置にどうやら俺は満足していなかったらしい。
「だから気まずいってか」
「…そうだなァ」
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ポンコツ(プロフ) - すっごいドンピシャに好きな作品でした!! (2022年11月8日 18時) (レス) @page45 id: 16f55af0f9 (このIDを非表示/違反報告)
澪奈(プロフ) - 完結おめでとうございます!とっても面白かったです!!次回作も楽しみにしています! (2021年3月9日 21時) (レス) id: 20f17d6d24 (このIDを非表示/違反報告)
凪子(プロフ) - さねみんなら、一生お世話されたい!!楽しい作品だったぜィ(^^) (2021年3月9日 21時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - 完結おめでとう!!とにかく可愛らしくて勝手に2人の保護者面して見守っておりました…。ゆっくりと2人のペースで進んでる姿が本当に見えてきてこの先も笑い合っていくんだなって思うと本当に素敵な2人!最高なお話をありがとう!次回作もゆっくり頑張ってね!!! (2021年3月9日 20時) (レス) id: 1ceb99e799 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - もしゃこうさん» コメントありがとうございます!この作品を最後まで読んでくださり本当に嬉しいです、、!次回作も見てくださるんですか!?ええ嬉しい涙ありがとうございました、! (2021年3月9日 20時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
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