感謝 ページ28
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「高等部からは他校から入ってきた子も居てさ、元々中等部でも友達なんて胡蝶さんと伊黒君くらいしか居なかくて。クラス離れたあの時、ほんとにやる気なくしてずっと寝てたんだよね」
「──────そんな時に、彼に出会ったんだ」
「目付き悪いし、傷だらけだし、銀髪だし、怖面だし。関わりないと思ってたんだけど中身はすっごい優しくて面倒見が良くて、世話焼きで」
「そんな彼だからこそ、甘えちゃってたんだよね」
眠そうな目付きで、ゆっくりとした喋り方で。神崎Aという女はどこまでもマイペースだ。眠いと感じたらどんな場所でも寝始めるし、だるいと感じたらどんな状況でも本能に従い、すぐにやめる。そんな彼女だからこそ、不死川は惚れたんだ。
「さねみんには感謝でいっぱいだよ」
「そうだな」
「さねみんのおかげで毎日が楽しいって思い始めたんだ。眠たがりな私が行きたい大学見つけて、必死に勉強した。結果がどうであれ達成感がすごくあったからほんとに良かったと思ってる。それだけで、満たされたから」
「お前も頑張ったもんな」
「うん、宇髄もね」
「ありがとな」
不死川からLI〇Eが来て、俺はAの方へ顔を向けて「そろそろお迎えが来るぜ」と笑った。
「お迎え?」
Aがそう言った瞬間、公園に息を切らせた人影が近付いてきた。暗くて見えないけど誰だかなんてすぐに分かった。
「早かったな、不死川」
「走って、来たからなァ…今までサンキュ、宇髄」
「今度飯奢れよ?」
「奢る」
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「じゃあな、A。また3人で飯くいに行こうぜ」
「ばいばい宇髄」
「おう」
「また明後日、卒業式でなー」
そう言って俺はAと不死川に手を振って公園を出た。スマホを開くと先程来た不死川からのLI〇Eの文面がうつる。
不死川はでみやっぱAに会いてェから公園向かうわ
「あーあ」
道中でスマホ片手に夜空を見上げる、そんなロマンチックな事を1人でしていた。
「派手に良い奴だわ、アイツら」
─────俺も彼女欲しい。
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「さねみん、用事あったんじゃないの」
「もう終わった」
「何の用だったの」
「すげー大事な用事」
ブランコの前で、私を抱き締めてさねみんはそう言った。されるがままの私は彼の背中に腕を持っていき、彼の匂いをすんすんと嗅いでいた。クラリセージの香りが私の周りに漂う。その香りは絶えず方向を変える風のような印象だ。それが彼の匂い。
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ポンコツ(プロフ) - すっごいドンピシャに好きな作品でした!! (2022年11月8日 18時) (レス) @page45 id: 16f55af0f9 (このIDを非表示/違反報告)
澪奈(プロフ) - 完結おめでとうございます!とっても面白かったです!!次回作も楽しみにしています! (2021年3月9日 21時) (レス) id: 20f17d6d24 (このIDを非表示/違反報告)
凪子(プロフ) - さねみんなら、一生お世話されたい!!楽しい作品だったぜィ(^^) (2021年3月9日 21時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - 完結おめでとう!!とにかく可愛らしくて勝手に2人の保護者面して見守っておりました…。ゆっくりと2人のペースで進んでる姿が本当に見えてきてこの先も笑い合っていくんだなって思うと本当に素敵な2人!最高なお話をありがとう!次回作もゆっくり頑張ってね!!! (2021年3月9日 20時) (レス) id: 1ceb99e799 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - もしゃこうさん» コメントありがとうございます!この作品を最後まで読んでくださり本当に嬉しいです、、!次回作も見てくださるんですか!?ええ嬉しい涙ありがとうございました、! (2021年3月9日 20時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
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