女子 ページ3
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「あのね、今日の放課後しのぶちゃんとカフェで勉強を教えてもらう約束してて…良かったらAちゃんも一緒にどうかなって」
ふわっとした笑顔で甘露寺さんは私にそう告げた。私はその言葉を聞いて少し黙り込んだが、甘露寺さんの「ダメかしら…?」という不安げな追い討ちにより同行する事を承諾した。
「ふふ、久しぶりの女子会で楽しみだわ」
楽しそうに笑う甘露寺さんに私も"楽しみだ"と伝えようとしたが、自身の心のモヤモヤが取れないせいでただ作り笑いをしながら頷く事しか私には出来なかったのだった。
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教室に戻り授業を受ける。前の席に座って勉強している彼とは、全く話をしない。こんな事は初めてだった。現国、英表、と終わり今から文系は数α、理系である彼は物理。彼は違う教室へ行く為席を立つ。
いつもなら私の方を見て何か言葉を発するのだが、そんな事もせず静かに教科書と参考書を持って教室から出て行ってしまった。勿論、目も合わさず。
「……」
────休み時間って、こんなに長かったっけ
頬杖をついたまま、ずっと時計の針を見つめ続けていた。何でこうなったんだっけ。何が駄目だったんだっけ。そんな事を考えながら。
薬の効き目は本当に1日で終わった。1日で終わったからこそ、虚しい気持ちでいっぱいになった。効き目が切れたのに、元に戻らない。
「……胡蝶さんの言う通り、薬の効果は最初から無かったのかもね」
そんな小さな呟きも、今はこの騒がしい教室の雑音にまんまと消されてしまったのだった。
─────本当は、最初から知ってた癖に。
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「しのぶちゃん、この問題が分からないわ」
「見せてくれませんか。あぁ、ここはまず……」
長居出来るカフェで、飲み物と共に私と胡蝶さんと甘露寺さんは勉強会を開いた。隣に座った甘露寺さんは前に座っている胡蝶さんに数学を聞いている。
私は何となく古典をしている。いつもなら数学一択だったのに何故かアレから数学に手を付けられずにいる。理由はお察しの通りだ。
「しのぶちゃんは飲み物何頼んだの?」
「ホットココアですよ。甘露寺さんは?」
「私はホットチョコレートを頼んだわ!しのぶちゃんのも甘くて美味しそう」
「ふふ、1口飲みますか?」
「飲みたい!」
可愛い声と共に可愛い会話が繰り広げられており、私は静かにシャーペンを回して黙っていた。
ホットココア
ホットチョコレート
どちらも彼が好きそうな飲み物だ。
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ポンコツ(プロフ) - すっごいドンピシャに好きな作品でした!! (2022年11月8日 18時) (レス) @page45 id: 16f55af0f9 (このIDを非表示/違反報告)
澪奈(プロフ) - 完結おめでとうございます!とっても面白かったです!!次回作も楽しみにしています! (2021年3月9日 21時) (レス) id: 20f17d6d24 (このIDを非表示/違反報告)
凪子(プロフ) - さねみんなら、一生お世話されたい!!楽しい作品だったぜィ(^^) (2021年3月9日 21時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - 完結おめでとう!!とにかく可愛らしくて勝手に2人の保護者面して見守っておりました…。ゆっくりと2人のペースで進んでる姿が本当に見えてきてこの先も笑い合っていくんだなって思うと本当に素敵な2人!最高なお話をありがとう!次回作もゆっくり頑張ってね!!! (2021年3月9日 20時) (レス) id: 1ceb99e799 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - もしゃこうさん» コメントありがとうございます!この作品を最後まで読んでくださり本当に嬉しいです、、!次回作も見てくださるんですか!?ええ嬉しい涙ありがとうございました、! (2021年3月9日 20時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
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