魅力 ページ20
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「美味しい〜」
「アオイのご飯は世界一ね〜」
同じ表情になっている母親とAを見比べながら俺はビーフシチューを口にする。食べ終わるとA母がすぐに「ケーキ食べたい」と言い始めケーキ用ナイフと皿を持ってきた。
「今食べ終わったばっかじゃん!」
「ケーキは別腹なのよ」
「流石甘党、さねみんと一緒だ」
食べ終わってソファーの上でクッション片手にだらけているAがそう言う。するとA母が俺の方へ顔を向けて「あら、ほんとに?」と聞いてきた。眠そうな目付きだがその瞳はキラキラしている。
「…はい、まァ」
「そうなの?Aは甘い物苦手だしアオイは糖分とり過ぎっていつも怒られるから嬉しいなー」
娘に怒られてるんかい、と内心ツッコミを入れながら「甘い物は止まらないですモンね」と言った。するとA母が「食べて食べて!」と嬉しそうにケーキを取り分けるから俺も同席する事になった。
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俺とA母が2人で向かい合うように座りケーキを食うという異様な光景が此処に出来た。Aは食べて眠気が襲ってきたのかソファーですやすやと眠りについているし妹は課題があるのか自室に戻ってしまった。
どうするこの状況。と言うかこの人は俺達が付き合ってる事を知ってんのか。挨拶とかした方がいいのか。そんな事をモンモンと考えながら甘いショートケーキをもっこもっこと食べる。
「えっと、ふなかわくん」
「不死川です」
「しなずがわくん」
「はい」
「Aに勉強教えてくれてるんだってね」
「あ、まァ…そんな大層な事は教えれてないですけど」
「そんな事ないない、私嬉しかったのよ」
「何がですか?」
「Aが自分の口で××大学に行きたいって言ってくれたの」
ケーキを食べ終わり、頬杖をつきながら微笑むA母を見つめた。
「ほら、あの子完全に私に似ちゃってね。キメツ学園も中高一貫で楽だからって理由で行っちゃったし」
「…」
「だから夏にいきなり"××大学に挑戦したいな"って言った時はお父さんと2人ですごい驚いて、」
「…そうだったんですねェ」
「不死川君と約束したから、って。眠たがりなあの子だけど…仲良くしてあげてね」
お酒をプシュッと開けてニコニコしながら飲むA母に、俺は持っていたフォークを皿の上に置いて真剣な表情で口を開いた。
「俺はもうとっくの昔から…Aさんに夢中ですから。…魅力だらけで困ってますよ、こっちは」
そう言って笑った。
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ポンコツ(プロフ) - すっごいドンピシャに好きな作品でした!! (2022年11月8日 18時) (レス) @page45 id: 16f55af0f9 (このIDを非表示/違反報告)
澪奈(プロフ) - 完結おめでとうございます!とっても面白かったです!!次回作も楽しみにしています! (2021年3月9日 21時) (レス) id: 20f17d6d24 (このIDを非表示/違反報告)
凪子(プロフ) - さねみんなら、一生お世話されたい!!楽しい作品だったぜィ(^^) (2021年3月9日 21時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - 完結おめでとう!!とにかく可愛らしくて勝手に2人の保護者面して見守っておりました…。ゆっくりと2人のペースで進んでる姿が本当に見えてきてこの先も笑い合っていくんだなって思うと本当に素敵な2人!最高なお話をありがとう!次回作もゆっくり頑張ってね!!! (2021年3月9日 20時) (レス) id: 1ceb99e799 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - もしゃこうさん» コメントありがとうございます!この作品を最後まで読んでくださり本当に嬉しいです、、!次回作も見てくださるんですか!?ええ嬉しい涙ありがとうございました、! (2021年3月9日 20時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
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