休憩 ページ17
.
付き合ってまだ1ヶ月。しかし2年半程の年月を共に隣で過ごしてきた私達。特に彼は今まで我慢してきた思いというのがあったようで一度スイッチが入ってしまえばもう誰も止める事が出来ない。そのスイッチを押したのは紛れもない自分自身だから言い訳が出来ないのだが。
「ん、」
「…ッ」
自分が出したのか?と聞き間違える程の甘い吐息と声が漏れて思わず彼から目を逸らす。こんな自分、自分じゃないみたいだなんて思ってしまうくらい恥ずかしい。
たった10分。されど10分。この休憩時間の10分間に出来る事なんて限られている訳で。永遠に長いキスや深いキスを沢山落とされクリスマスに相応しい甘いひとときを過ごさせて貰った。
「さね、」
「はい終了」
「ん"〜〜〜流石っ!」
いつの間にか10分経っていたらしく、さねみんの"終了"の声と共に最後の長いキスをして顔を離された。そして何事もなかったかのように参考書を開き始める彼を見て、彼の切り替えの凄さに舌を巻く。将来有望だなこれは。
「これはさっきの問題で同じような事しただろォ」
「1個前のやつ?」
「そう」
さっきのイチャイチャのおかげで少し数学のやる気を取り戻した私は真剣にさねみんに解説をしてもらい次々と問題を解き進めていった。
気がつくともう時間は午後6時を過ぎていて。コンコンとノックがなるまで私達はお互いの勉強にかなり集中し合っていた。眠たがりの私もセンター1ヶ月を切ると眠るのを忘れて勉強に明け暮れる能力があったようだ。我ながら褒めたい。
「不死川さんが良かったらなんですけど夕飯うちで食べて行きませんか?」
ノックの主は妹のアオイだった。青い蝶柄のエプロンをしてドアからちょこんと顔を覗かせている姿が可愛いと思ってしまう。
「食べていきなよさねみん」
「いや、悪ィし…」
「いいじゃん。アオイのご飯美味しいよ」
まるで自分が作っているかのような口調で妹の料理の腕前を自慢しながらさねみんに説得すると彼はクスッと私の方を見ながら笑って「じゃあご馳走になるわァ」と言ってくれた。
「お母さん仕事早く終わったって」
「お父さんは?」
「夜遅くなるみたい」
「じゃあ4人だね」
呑気にアオイとそんな会話をしながらキッチンでお茶を淹れていると自室からさねみんがリビングに来て「夕食作るの俺も手伝う」と言っていた。
「え、悪いですよそんな」
「いや姉貴が何も出来ねェから代わりにやる」
「私戦力外通告じゃん」
.
266人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ポンコツ(プロフ) - すっごいドンピシャに好きな作品でした!! (2022年11月8日 18時) (レス) @page45 id: 16f55af0f9 (このIDを非表示/違反報告)
澪奈(プロフ) - 完結おめでとうございます!とっても面白かったです!!次回作も楽しみにしています! (2021年3月9日 21時) (レス) id: 20f17d6d24 (このIDを非表示/違反報告)
凪子(プロフ) - さねみんなら、一生お世話されたい!!楽しい作品だったぜィ(^^) (2021年3月9日 21時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - 完結おめでとう!!とにかく可愛らしくて勝手に2人の保護者面して見守っておりました…。ゆっくりと2人のペースで進んでる姿が本当に見えてきてこの先も笑い合っていくんだなって思うと本当に素敵な2人!最高なお話をありがとう!次回作もゆっくり頑張ってね!!! (2021年3月9日 20時) (レス) id: 1ceb99e799 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - もしゃこうさん» コメントありがとうございます!この作品を最後まで読んでくださり本当に嬉しいです、、!次回作も見てくださるんですか!?ええ嬉しい涙ありがとうございました、! (2021年3月9日 20時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ