連絡 ページ6
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私は黙り込んだまま解いていたノートを見つめていた。そこには今まで解いてきた沢山の問題の答えが。
──まずグラフとか図を書いて空間的に問題の意味を理解しろォ
──まとめて一気に計算すんな、頭こんがらがるだろ。お前は地道にやってく方のが向いてる
──ん、順調に伸びてきてるじゃねェか
──俺の教え方が上手かったんだなァ、感謝しろよ
彼の笑った顔が頭から離れない。もう一度あの笑顔を。もう一度あの声を。私だけに、聞かせて欲しい。
─────なんて、
自分の頭をクシャッと撫でて溜息をつく。そんな姿を2人に見られていたとも知らずに私は再び数学の問題に手をつけたのだった。
切実に寝たい。
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「だいぶ捗りましたね」
「次の模試はバッチリよ!」
「ふふ、だといいですね」
11月にもなると日が沈むのがとても早い。午後7時半、カフェを出るともう辺りは真っ暗だった。
「2人共帰り道が違いますが大丈夫ですか?」
「伊黒さんが迎えに来てくれるって連絡来たわ!」
「私は1人で生きていけまふ」
"胡蝶さんは大丈夫?"と聞くと「姉さんが近くでバイトしてるので迎えに来てくれるそうです」との事。どうやらぼっちは私だけのようだ。2人は待ち人がいる為私だけ帰る事になる。
「夜道は危ないので気をつけて下さいね」
「大丈夫大丈夫、じゃあまたね」
甘露寺さんと胡蝶さんに手を振って私は歩き出したのだった。
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「しのぶちゃん」
「結局、聞けずじまいでしたね」
「そうね…」
神崎Aがカフェから去った後、近くのベンチで腰を下ろす2人。2人は伊黒小芭内と胡蝶カナエが来るのを待っていた。
「Aちゃん、1人で大丈夫かしら」
「……一応、連絡してみますか」
「Aちゃんに?」
胡蝶しのぶは鞄からスマホを取り出しアプリを起動する。そして甘露寺蜜璃の方へスマホを見せてニコッと笑った。
「────勿論、
スマホの画面を見た甘露寺の表情はみるみる笑顔に変わっていき、「しのぶちゃん!」と言って最後は胡蝶に抱きついたのだった。
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「さむ」
ボソッと呟いた一言が、周りの雑音に持っていかれると思ったがそんな事はなかった。周りに誰も居ないからだ。午後8時前になると毎日歩いているこの帰り道も人気が少ない事に今更ながら気付く。
そろそろブレザーが必要だな、なんて思いながらスマホのカレンダーを見る。
「……あ、」
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ポンコツ(プロフ) - すっごいドンピシャに好きな作品でした!! (2022年11月8日 18時) (レス) @page45 id: 16f55af0f9 (このIDを非表示/違反報告)
澪奈(プロフ) - 完結おめでとうございます!とっても面白かったです!!次回作も楽しみにしています! (2021年3月9日 21時) (レス) id: 20f17d6d24 (このIDを非表示/違反報告)
凪子(プロフ) - さねみんなら、一生お世話されたい!!楽しい作品だったぜィ(^^) (2021年3月9日 21時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - 完結おめでとう!!とにかく可愛らしくて勝手に2人の保護者面して見守っておりました…。ゆっくりと2人のペースで進んでる姿が本当に見えてきてこの先も笑い合っていくんだなって思うと本当に素敵な2人!最高なお話をありがとう!次回作もゆっくり頑張ってね!!! (2021年3月9日 20時) (レス) id: 1ceb99e799 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - もしゃこうさん» コメントありがとうございます!この作品を最後まで読んでくださり本当に嬉しいです、、!次回作も見てくださるんですか!?ええ嬉しい涙ありがとうございました、! (2021年3月9日 20時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
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