へいたくしー【不死川実弥】

実験 ページ39

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　季節は肌寒くなって冬の準備が始まる頃。11月の頭。

「おかしいよね」
「何がでしょう」
「だって高3の11月だよ、普通に考えて部活はとうの昔に引退してる時期だよね」
「薬学研究部は引退しても出入り自由で薬を作る事が出来るんです。医学部を目指している私は勉強の休憩や練習がてらよくここに立ち入るんですよ」
「練習？ん？練習って何？」


　場所は化学研究室。薬品がズラリと並ぶ中私はぽつんと椅子に座られているこの状況。

「毒味がてら試作品飲みませんか？」
「ほんとに毒"味"だよね？味って字付いてるよね？のけないでよ？毒じゃないよね？」
「ふふふ」
「やだなんか走馬灯見えてきた」

　綺麗な笑顔を作りながら白衣を着て試験管を沢山持っているのは薬学研究部である隣のクラスの胡蝶しのぶ。この人とはテスト前によく社会科目の暗記の為に教科書を音声化したUSBをくれる。そのおかげでいつも社会科目は高得点を取れるのだがその分のお代はかなりきつい。

　そう、試作品の薬をよく飲まされる。(※良い子は絶対にマネしないでね)

「で何で冨岡までいるの」
「俺は嫌われていない」
「いや嫌われてるから今から毒飲まされるんだよ」
「…お前は嫌われているのか」
「ちょっと1回表出ようか」

　隣で静かに座る男、冨岡義勇。コイツまで呼ばれていたのか可哀想に。胡蝶さんによく勉強教えて貰ってたもんね。お代はきっちり返さないと取られるもんね、主に生命とか生命とか生命とか。

「ちょっと静かにして貰えませんかモルモット達」
「せめて名前で呼んで下さい」

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「まずはコレ、"性格が真逆になる薬"です。どちらか1人が飲んでくれたら構わないので、どっちにしますか？」
「冨岡冨岡冨岡冨岡冨岡冨岡」
「ではAさん飲んで下さい」
「うん話聞いてた？」

　待って性格真逆になるってつまり神崎A(cv:日〇聡)になる感じでしょ？え？そんなヒロイン居る？勘弁してもろて。

「冨岡さんには"人に嫌われる薬"にしましょうか」
「待って彼をこれ以上傷つけないで」

　人に嫌われる薬って何。いや人に嫌われる薬って何(２回目)

「俺は嫌われていない」
「いや薬飲んだらもっと嫌われるんだよ馬鹿野郎」

　脳内お花畑かよコイツ。


「胡蝶さん、他に何があるの。主に安全な感じで」
「他ですか？えーっと、"身体が小さくなる薬"、"性別逆転薬"、"獣化薬"、"入れ替わり薬"ですね」
「ご都合血鬼術の一覧か何か？」

　あ、安全な物はそもそもない感じ？

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