抜殻 ページ21
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「もう放課後来るぞ、コイツこのまま学校に泊まるんじゃね」
「俺には関係ねェよ」
「まだ不貞腐れてんのかよ」
派手に拗ねてんなぁと思いながら俺はツンケン中の不死川とピクリとも動かないAを交互に見ながら溜息をついた。
まぁ不死川がド派手に機嫌が悪くなった理由は何となく分かるけど。とにかくAが起きない事には伊黒の件も不死川の機嫌も解決しない。
そんな時、放課後の知らせであるチャイムが鳴り響いた。すると今の今まで全く動く気配がなかった彼女がムクリと起き、ひとつ欠伸をして大きな伸びをド派手にかましていた。
「あーよく寝た」
「え、お前にとってチャイムは目覚まし?」
目を擦りながらAは鞄に荷物を詰めていた。いや自由過ぎん?
「テメェ俺が起こしたらちゃんと起きろ」
「いやー、1週間の疲れが溜まってたのかな。華金だし」
「今日は月曜な、まだ1週間始まったばっかな」
曜日を偽造すな。
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「あ、そういやA。伊黒が派手にお前の事呼んでたぜ」
「伊黒君…あー、了解〜」
俺がそう伝えると隣に居た不死川がその言葉にピクッと反応する。いや分かりやすっ。
「伊黒と何の用があるんだァ」
「あー、まぁ色々」
「言え」
「うーん」
めっちゃズカズカ聞くじゃん不死川、なんて思いながら俺は2人のやり取りを黙って見ていた。
それにしてもAが保護者である不死川の言葉に対して濁した反応を取るなんて珍しい。こりゃ派手に何かあるな。
「おい神崎、やっと起きたのかさっさと支度しろ馬鹿者」
「うぉ、伊黒君もう居たの」
「さっきからな」
「空気とお友達になるの上手すぎるよ」
いきなり伊黒が現れてAの隣に立ち話しかけていた。しかし伊黒はAを待たず教室から出て行き、その後ろ姿を追いかけるようにAも教室から出て行こうとした。
「あ、今日伊黒君と寄るとこあるからさねみん先帰ってていいよ」
「……はァ?」
「じゃーね、さねみん」
いや俺は?じゃーね宇髄は?とは思ったけどそれ以上に不死川が抜け殻状態なのであえて黙っておいた。
「…不死川?生きてるか?」
Aが教室から出て行って、俺は恐る恐る不死川に話しかける。
「………ぞォ」
「は?」
「──────跡、つけるぞォ」
「やっちゃえシナッサン」
「テメェも行くぞ」
「え〜切実に帰りてぇ〜」
そう笑顔で訴えるも俺の肩を組みながら不死川は怒りMAXで歩き始めたのだった
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うぇすとり?ぁー(プロフ) - 前編読み終わりました!いくまさんのギャグセンス最高でした!へいたくしーが前編の最後のシーンでは言えなくなってしまう甘酸っぱい展開最高でしたっ! (2021年10月13日 22時) (レス) @page50 id: 9275faa17d (このIDを非表示/違反報告)
最高 - これはッ!!!絶対にもッッッッと伸びるべきです(迫真)本当に面白いです可愛いです最高です (2021年3月18日 16時) (レス) id: f0ef8aefa1 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - ルナさん» コメントありがとうございます。最初、田中くんの漫画を読んでこんなヒロインを書きたいなと思い執筆させて頂きました。お気付きになられたとは笑これからの展開はオリジナルが多いのでお時間あれば続編も是非ご覧になって下さいね! (2021年2月27日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - yuenさん» コメントありがとうございます。作品を好きと言って下さり嬉しい限りです……!続編もよろしくお願いいたします! (2021年2月27日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - 田中くんはいつもけだるげだ!! (2021年2月27日 14時) (レス) id: 72ff3a10a5 (このIDを非表示/違反報告)
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