熟睡 ページ20
.
5月某日。購買でおにぎりやパンを買って教室に居る不死川とAと一緒に飯を食おうと思いながら俺は扉をガララと開けた。案の定、席でパンを頬張る不死川の姿を発見。
「不死川〜俺も一緒に食う…」
そう言って不死川の元へ近付いた瞬間。不死川は顔を突っ伏して眠るAの肩をユサユサユサと永遠に揺さぶっていた。
「いやいやいや、やり過ぎだろ」
アイツ絶対脳揺れてるぞ。
.
「Aが起きねェんだよ」
「いつもの事だろ」
「いや起こしたら起きるんだが今日は何度やっても起きねェ。宇髄も手伝え、昼飯も食ってねェぞコイツ」
「相変わらず過保護だなぁ」
そう言って俺もAの肩をトントンと叩く。が、一向に起きる気配はない。ここまで熟睡出来るのって早々ないよなぁ、と思いながら俺は買ってきたおにぎりを彼女の頭の上に乗せた。あ、意外と安定してるな。
そう思ってまた違うおにぎりを乗せた。またおにぎりを乗せて次はパン2つを上に乗っける。
「不死川見ろ、芸術だろ!!」
「Aで遊ぶんじゃねェ」
案の定しっかり怒られた。
.
「神崎は居るか」
「居るけど居ねェ」
「意味が分からん」
珍しい客人だ。隣のクラスの伊黒がAに用があるなんて。不死川の答えに真顔でツッコミを入れた伊黒は熟睡中の彼女の姿を見て"あぁ成程"と言わんばかりの表情をしていた。
「一体コイツはいつまで寝続ける気かね」
「放課後までだなァ」
「冗談はよせ」
「Aだからなァ」
「妙に納得してしまったではないか」
彼女の頭に乗せていたパンを口にしながら俺は伊黒と不死川のやり取りを見ていた。
「つーか伊黒がAに用があるのって珍しくね」
俺が頬杖を付きながらそう尋ねると伊黒は俺の方を向いてスカした表情で口を開く。マスクしてるから分からんけど。
「フン、貴様らには関係ない」
"神崎が起きたら俺が呼んでいたと伝えておけ"と言いながら伊黒はスタスタと教室から出て行った。
「女嫌いの伊黒がわざわざAに用事とはねぇ」
煽り口調で俺は不死川の方へ顔を向けながらそう言った。するの不死川はAの頭の上に乗っていた俺のおにぎりを勝手に食いながらギロッと俺を睨み
「関係ねェよ俺達には」
と不貞腐れた声でムシャムシャと豪快におにぎりを頬張っていた。いやそれ俺のおにぎりな。
.
「結局7限まで寝たままだったな」
「知らねェよ、一生寝とけ」
「派手に怒ってんなぁ」
.
233人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うぇすとり?ぁー(プロフ) - 前編読み終わりました!いくまさんのギャグセンス最高でした!へいたくしーが前編の最後のシーンでは言えなくなってしまう甘酸っぱい展開最高でしたっ! (2021年10月13日 22時) (レス) @page50 id: 9275faa17d (このIDを非表示/違反報告)
最高 - これはッ!!!絶対にもッッッッと伸びるべきです(迫真)本当に面白いです可愛いです最高です (2021年3月18日 16時) (レス) id: f0ef8aefa1 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - ルナさん» コメントありがとうございます。最初、田中くんの漫画を読んでこんなヒロインを書きたいなと思い執筆させて頂きました。お気付きになられたとは笑これからの展開はオリジナルが多いのでお時間あれば続編も是非ご覧になって下さいね! (2021年2月27日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - yuenさん» コメントありがとうございます。作品を好きと言って下さり嬉しい限りです……!続編もよろしくお願いいたします! (2021年2月27日 23時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - 田中くんはいつもけだるげだ!! (2021年2月27日 14時) (レス) id: 72ff3a10a5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ