片想い少女。【俺スカ】 (ページ10)

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東条「あのー!」

原田「なに?」

東条「なに?じゃなくて、出席簿の名前くらいちゃんと呼んでくれません?」

次の日になっても東条の怒りは収まっていないようだ。

いる、いる、と出席簿を確認しながら歩いていたのぶちゃん。

原田「名前?」

東条「敬意とかじゃなくて単純に覚えてないから呼ばないだけじゃないんですか?」

原田「はぁ?」

東条「はぁ?じゃなくて。
まだ1回も俺らの名前呼んだことないですよね?」

原田「私に向き合って欲しいなら、まず、お前が私と向き合いなさい。
コソコソ笑って馬鹿にして..そんな奴と向き合いたくないの私」

東条「いや、向き合うとかじゃなくて。
名前も覚えられない先生、俺たち全員、先生として認めないんで」

原田「なに。あんた達が先生として認めなくて、なんか問題あんの?」

のぶちゃんのその態度に、おぉ、と声が漏れる。

原田「担任と名乗ってはいけないわけ?」

東条「ま、認めないってことなんで」

牛久保「そうっすよ。やっぱ教育を金とか言ってる奴に何も教わりたくないんで」

牛久保の言葉を無視して、のぶちゃんは出欠席を確認する。

原田「いないのよ、こいつが!!」

光岡くんの席を見てイライラしたように呟く。

そういえば、いつからか来なくなったな

牛久保「おい、聞いてんのかよ!!」

後ろからの急な怒鳴り声に、肩が揺れた。

原田「聞きたくないから聞きませーん。
それも私の権利。
生徒の言うことを全部聞かなきゃならないという決まりはありませーん。お客様は神様じゃないんです」

明智「先生。
てことはさ、俺ら生徒にも先生は神様じゃないってことなんですよね?」

原田「うん」

明智「じゃあ授業とか勝手に出て行っちゃってもいいですか?」

原田「好きにすれば?
進級できなくて困るのあんただけどね?」

不敵な笑みを浮かべ続ける明智くん。

明智「..っふ、やだなぁ、冗談ですよ。

ちょっとトイレ行ってきますね」

重たい空気の中、HRが終わった。

「とーじょー」

ペンの頭で背中を叩くと、不機嫌そうな表情が振り向く。

「反省文書いて」

あ、あんたが木原ね。

と出欠席を確認してるのぶちゃんに渡された作文用紙。

東条「長井か」

「居残りコースだよ..」

項垂れると、どんまーい、なんて声。

睨むと、憎めない笑顔だった。