片想い少女。 【俺スカ】

25 ページ25

Kawasaki.side






原田先生と田中先生と一緒に病院の外に出ると、見覚えがある背中が見えた。




川崎「A..?」




名前を呼ぶと、濡れた瞳が私を見る。




「ゆ〜〜い〜〜!!!!」






勢いよく抱きついてくるAを、足を痛めないようにしながら受け止めた。






「ももからっ!なんかめっちゃLINEきててっ!しかも電話もきててっ!急いで佐川先生に聞いたらなんか広田先生の見舞い行かされててっ!今やっと落ち着いてここまで来れたんだけど大丈夫!?」





川崎「え、うん、大丈夫だよ!」




泣き虫な彼女は、不安げに私を見上げる。






「..ほんと?」





笑ってみせても、Aは不安げなままだ。





田中「木原、お前いつからここにいたんだ？」




いくら春といっても、夜は冷える。





「..1時間ぐらい?」




迷いに迷ってずーっとここで待っててくれたらしい。





川崎「風邪引いたらどうするの!
せめて東条でも呼べば良かったのに..」




あいつなら呼んだらすぐ来ただろうに。






私がそういうと、Aは今度は悲しげに視線を下ろした。





「..多分結衣のこと心配してすぐ来ると思うよ、」





川崎「なにそれ笑」




私が笑うと、Aもへらっと笑う。






無理して笑っているのはバレバレだ。






名前を呼ぼうと口を開くと、それを遮るように明るく声を出したA。





「さ、帰ろ!」




小さい頃は2人で1つ。みたいな感じだったのに、




いつからか薄い壁が出来たみたいだった。

26→←24

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す