片想い少女。 【俺スカ】

23 ページ23

「..じゃ、ありがと」





いつも通り、



マンションの前で、明智くんと別れる。




明智「あの賭け、誰にも言うなよ」




その言葉に曖昧に笑うと、明智くんは「じゃ」と手を挙げて帰って行った。





東条「今の明智じゃん」




後ろからパタパタと近寄ってくる足音が聞こえる。




東条「..お前そんなに明智と仲良かったっけ?」




「なに東条。妬いてんの?」




ニヤニヤと笑いながら言うと、東条は「ばーか」と頭を軽く叩いてきた。






東条「ふーん..ま、頑張ってるってことか」





ボソッと呟かれた言葉。




「頑張る..?」




東条「あっと..コンビニ行くけどなんかいる?」





視線をきょろきょろとしたあと、明るく言った。





なにか隠してる..






じーっと見ると、「んだよ」と一言。





「..グミ買ってきて。
ちょーすっぱいやつ」




東条「お前ほんと好きだな。せめて初恋の味の方にしろよ」




「初恋の味を今は楽しみたくないの」





東条「へいへい」




ゆるーく走っていく東条を見送ってから私も家に戻る。






数十分後に部屋の窓が叩かれて、すっぱいグミが届けられた。





「..すっぱ」






私の初恋に..甘さなんてなかった。

24→←22

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す