片想い少女。【俺スカ】 (ページ15)

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「萌ちゃん、」

服の裾を握ると、萌ちゃんは呆れたように笑った。

里見「ほんと泣き虫だね」

「うっさい..」

長井「あ、あそこ..!」

長井が指さす屋上には..のぶちゃんが現れた。

何を話してるかちゃんと聞こえない。

里見「彼..いつからマスクつけてるの?」

「わかんないけど..私が気づいた時にはずっとあの姿だったよ」

いつでもマスクをつけていて..みんなにからかわれていた。

優馬は優しいのに。

本当に優しくて..すごく凄くいい子なのに。

皆、優馬のことを馬鹿にしていた。

結衣達だって..

「..嫌われたくないからって..言わない私はずるいんだろうな..」

でも..そんな私なのに優馬は怒りもせず..話してくれる。

ほんとに優しい子だ。

気づくと、のぶちゃんは急に屋上から走り出した。

「のぶちゃん!」

原田「木原!ちょうどいい所に..」

駆け寄ると、のぶちゃんはそう言った。

原田「あー、あと..川崎!今泉に小田原!ほら、こっち来て手伝って!」

のぶちゃんはそう言って、中庭にいるクラスメイトの名前を呼んだ。

東条達以外のクラスメイトがのぶちゃんに言われた通り、黒い大きな布を一緒にひろげてもつ。

原田「若林、こい!」

コイ..?

来い..?

「優馬に落ちろって言ってるんですか!?」

隣ののぶちゃんを見ると、のぶちゃんはケロッとした表情で「そうよ」と。

若林「そ、そんな布で受け止められるわけがないだろ!!」

原田「ここにいる連中、なんだかんだ言ってお前が飛ばないと思っている。あそこでカメラ回してる奴もな!!

お前が本当は、やっちまう奴だって見せてやれ!

そんで、飛んでる途中でカメラにピースかましてやれ!」

ぶっ飛んでる..

必死に反抗する長井。

ぶっ飛んでるけど..1番これが正しい行動なのかもしれない。

原田「若林、返事!!」

「ゆーま..飛べー!!!!」

若林「..はいｯ..!」

震えた優馬の返事。

原田「あんた達、踏ん張りなさいよ～?」

長井も止められないようで、決心したような表情をした。

若林「うわぁぁ..!!!」

勢いよく飛んだ優馬の左手は

のぶちゃんに言われた通りピースしていた。

皆で持っていた布は優馬の勢いで、思いっきり引っ張られて倒れ込む。

それでも確かに..受け止めることはできた。