親 し き 仲 に も 礼 義 あ り

49 隣の部屋 ページ49

『先輩、無事家まで着きました笑』

黒尾「良かったな笑

…あのさ、お家の人はAちゃんの今の状況ちゃんと分かってんの？」

…お家の人…ね

『ウチ昨日から片親なんですよー、
お父さんと暮らしてるんすけど仕事で週一とかしか帰ってこないんで、
言ったとか言わないとかあんま関係無いっす笑』

黒尾「まじ？ごめん嫌な事聞いたよな…」

『大丈夫ですよ。ウチそーゆーの気にしないし、親も仲悪くて離婚とかしたわけじゃ無いんで笑』

黒尾「…そっか！じゃあ今度Aちゃんの家遊び行くわー笑、なんつって…」

『いいですよー。先輩なら笑
何なら泊まってってください笑』

黒尾「……本気…？…俺ここで冗談とか言われても聞かねーよ？」

何で冗談？笑
1人でいたってつまんないだけじゃん。

ハナ達を誘いたいのは勿論あるけど、頭がおかしくなってることがバレて心配させたら嫌だ。

彼奴らは優しいからきっと自分達も学校辞める…
なんて言い出すかもしれない。
好きな人いんのにウチが邪魔する結果になるのは我慢ならないからね。

『いいっすよ〜。部屋も余ってるし怖いビデオでも借りて夜更かししましょ！笑』

黒尾「…よっしゃ！いつ行ってもいい？笑」

うーん…先輩の部活がない時がいーよな…
あ、週末とかは無いんじゃないのかな…？

『週末とかどうですか？部活…無いですよね？』

黒尾「おう！前の日は部活いつも通りあるから、終わってからAちゃん家行くな！」

『じゃあ駅まで迎え行きますよ、そんで帰りにお菓子とか買って、ビデオ借りて帰りましょー笑』

黒尾「んだな！楽しみ！」

『ウチもです！笑
それじゃあまた明日…！』

黒尾「おう！おやすみ…寂しくなったらいつでも連絡していいからな？笑」

『すぐ寝るんで大丈夫でーす笑
おやすみなさーい』

電話を切った瞬間、静かな家に飲み込まれる感じがした。

『風呂入って寝よ…』

リビングの電気を消して風呂に入る。
額にできた傷が痛むけど気にしないで上がった。

明日から早く起きなくていいと思うとよく眠れそうな気がした。

部屋にかかった制服。
…あれもいらねーな。

明日捨てよ…
部屋の電気を消して暗くなってんのに、真向かいの部屋の明かりが眩しい。

さっさと寝ろよな…

強く目を瞑って眠りに入ろうとするのに中々眠れない。


そのまま時が過ぎて太陽が昇ってきた。

『…眠れなかったし…もーいーや』

結局一睡もしないままリビングに降りた。

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