親 し き 仲 に も 礼 義 あ り

32 偽物の愛情 ページ32

言ってる意味がわからない。
…あ、聞き間違いだこれ。

『ごめんよく聞こえなかったわ、何だって？』

父「俺達別居すんの。Aどっちと暮らしたい？」

母「あたし？それともお父さん？
Aの好きな方でいいよ」

『え…いきなりそんな事言われても…
てか何で急に別居すんの？喧嘩？』

母「あたしが好きな人できたから。
お父さんも好きな人できたって言うし、Aも高校生だから、第2の人生歩もうってなったの。OK？」


『………そ、そか。分かった…けど、すこしかんがえてもい？夜までには答え出すから…』

父「もちろんいいよ。俺は仕事でいないから、お母さんに言っといて」

『う、うん。』

言葉が詰まってうまく出てこない。
そりゃいきなりこんな事言われても納得なんか
できねーよな。

『とりあえず学校行ってくる…』

母「いってらっしゃい」

やばい。まじで頭が混乱する。
どっちかなんて選べない。

どっちかと暮らすってなっても、お互い好きな人がいんなら、ウチの存在は邪魔だよね…

焦り

不安

体に変な汗が浮かぶ。


自由な親だとは思ってたけど、流石にここまでとは思ってなかった。


別に嫌いじゃない。


だからと言って、絶対2人が一緒にいてほしい訳でもない。


そこでふと思った。


…ウチ、愛情とかってちゃんとあんの…？
これまで家族に対して寂しいって思った事無かった。

周りの家族は、お母さんの方が好きとか、
お父さんの方が好きってよく言うけどウチはどっちも親は親じゃんって思っちゃう。





赤葦と付き合ってた時、本当に好きだった…？

どんな所がどんな風に好き？

お前の感情は本物か？



……本物でしょ。

赤葦の事だってちゃんと好きだったじゃん。
何言ってんの。


…でも、どこが？って聞かれると答えられない。









今までの自分の感情は偽物…？

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