私が私を失うまで (ページ23)

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『お父さんお帰りなさい。』

父「ああ、話をするから先に私の書斎に行ってなさい。こころは部屋か？」

『はい、分かりました。こころは私の部屋にいます。』

父「そうか…」

『じゃあ先に部屋に行ってますね。』

私はお父さんの書斎に入りソファーに腰を下ろした。

部屋を見渡すと机の上に家族写真が置いてあった。

これはきっとこころが産まれたばかりの時かな？
お父さんもお母さんもすごく嬉しそう。

写真を見ながらボーッとしているとお父さんが資料を持ちながら部屋に入って来た。

父「そこに座りなさい」

私は言われた通りにお父さんの前に座った。

父「それで、結論はどうなんだ？」

私は……

『私は、お父さんの会社を継ぎます。その為にイギリスへ留学するという話も受けます。』

父「そうか、助かるよ。こころにはまだこのような話はできないからな。」

だけど…最後のわがまま言ってもいい？

『でも、お願いがあります。この事は皆には伝えないで下さい。もし知られてしまっても全ては私の意思だと伝えて下さい。留学も見合いもすぐに受けますので。』

父「お前がそれでいいなら私は構わないよ。留学は1週間後だ、Aの覚え方次第ですぐにこちらの会社に勤めてもらう。見合いは明後日だよ、本当に大丈夫かい？」

ありがとうお父さん。

でも私は大丈夫。

私を失う覚悟はもうできてるから。

『はい、大丈夫です。

ありがとうお父さん、私頑張るね！！』

ばいばい皆。

ばいばい私。