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もう1人のマスターと騎士王 ページ46

___身体が堕ちてゆく。


頭を下にして堕ちてゆく身体は無力感に包まれ瞳すら開けるのを苛まれる。
何度か、体験したことあるような、ないような感覚。


『ま……し、ゅ…さ…』


寸前で後ろで庇った青年を思い出す。
けどその後自分の身体をを抱きとめてくれたことを思い出し、彼は無事であることを思い出し思考を止める。

なぜだか、この無力感に全てを任せこのままでもいい気がしてきた。


「…………!」


力強い声に身体が反応する。
でも、何かが聞こえた程度で誰の声すら分からない。


「……ター!」


ああ、彼女だ。
私と共鳴した。ファーストサーヴァントでもある。


『…きし、おう……』

「マスター!!」


迫真のある力強い声にゆっくりと目を開ける。
視界に映るのは青いドレスに甲冑が組み込まれた騎士王たるその姿。
彼女はAに向けて手を出す。
まるでA自身を助けるような手に見えた。


『……?』

「貴女は生きてください!生きるべきなんです!!

だから、この手を取ってください!私のマスター!!!」


「生きるべき」。
その言葉に思考を巡らせる。
自分は元々望まれるような存在ではなかったのだ。
物心ついた時から受けたのは実母からの暴力。

そのせいかAは自分自身に"生"の本能を捨てているように感じていた。

マリスビリーに拾われてから、初めて自分自身を必要としてくれた。
だから、Aはその恩に報いるために戦い、戦い、戦った。
たとえ自分の命が削れようとも。


「……っ、貴女は彼らと一緒に生きるべきです!

それが貴女自身の生きる存在証明でもあるんです!」

『存在証明………』

「私は貴女を愛してます!だから失いたくないんです!!

A!!手を____!!!」


「失いたくない」。
何度も彼女の口から聞いてきた言葉だった。
でも今はなぜかその言葉の重みがどこか違うように感じる。
だからこそAは堕ちてゆく身体に逆らうように手を伸ばす彼女の手へゆっくり手を伸ばしその手を掴む。

その瞬間、引き上げられるように引っ張られ抱きしめられる。

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天どん(プロフ) - アカツキさん» わぁぁぁあ😭😭😭ありがとうございます!!「面白い」という言葉だけで寿命が伸びてます😭😭😭少しずつですが頑張っていきます!! (3月31日 19時) (レス) id: bd657ac435 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - この作品すごく面白いです!!更新頑張ってください (3月31日 19時) (レス) @page2 id: f577ddf0c2 (このIDを非表示/違反報告)
天どん(プロフ) - 紅琥珀白桜さん» ありがとうございます!!この作品と出会ってくれたことと一気に読んでくれたことに感謝いっぱいです😭少しずつの更新ですがよろしくお願いいたします!! (3月31日 16時) (レス) id: bd657ac435 (このIDを非表示/違反報告)
紅琥珀白桜(プロフ) - 今日見つけて一気見しました、面白かったです!更新待ってます! (3月26日 23時) (レス) id: ec130343fe (このIDを非表示/違反報告)
天どん(プロフ) - なめこ汁さん» ありがとうございます!本当に少しづつになっていますが頑張っていきますので何卒!! (3月23日 11時) (レス) id: bd657ac435 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:天どん | 作成日時:2024年1月8日 0時

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