もう1人のマスターと魔法界【MASHLE】【Fate/GrandOrder】

もう1人のマスターと加速の魔法使い ページ36

※流血表現あります。


「アクセレイズ」


彼が呟けば足元に青い矢印が現れ、足をのせれば彼の身体は加速する。
反射と身体に刻まれた敏捷で槍で弾く。


『(やっぱり魔法は加速系。でも単純なものほど極めれば大きな武器になる)』


より複雑化したものよりも単純に極めたものは普通に厄介なのだ。
ただの人間であるとあるアサシンを思い出した。

その後もきり刻もうとする剣を槍で捌いていく。
しかし、単純な厄介さで反撃に出にくい。


「貴女ではこの第二魔牙(セカンド) アビス・レイザーに勝ち得ることはない」

『…随分自信があるようで』

「確かに貴女は強い。この間相対した時に思いました」


一瞬で、人の手首を捻る判断力、冷静さ。
そして何より動きが戦い慣れている。


「貴女はやろうと思えば私を殺せます……ですが、虫酸が走りますね」

『と言いますと？』

「家族と平和に暮らすため……よほど周りに恵まれてきたんですね」

『私のような人間には勿体ないほどの方々に恵まれていました』

「嫌になりますね…」


彼は手を広げる。
そこに映されるのはなにかの映像。
拘束されているレモンの姿だった。彼女は気を失っているようで何かを吸い取られているようにも見えた。


「これは魔力を吸い出す魔法具。あと30分もすればお友達の魔力はなくなり、アザは消え、一生魔法は使えなくなります。

”彼”と同じような人が増えるのです、これで寂しくないですね」

『………それ本気で言ってます？』


アビスが瞬きをした瞬間、目の前には深紅の槍。
反射で魔法を使い距離を取った。
先程までと違い殺気を強く感じる。


「ではこちらも遠慮なく…アクセレイズ スフィア」


矢印は右左縦横斜めだけでなく360度あらゆる方向からAへ向けられる。
反射と敏捷さで対応していたが、少しずつ剣が皮膚を裂いていき、それは血管をも届いてしまっていく。
そうすればどんどんAの身体には傷が増えていってしまった。


『っ！』


腹部に刺さった剣は深々と臓器を傷つける。
刺さった部分から出血が起きていた。
口からは血が吐き出される。


「確かに貴女は強い。でも貴女では誰も守れ…………！？」


剣を抜こうにもガチガチに固定されたように剣が全く抜けなかった。
思わず剣を見れば左手で掴み、地面から出てきた鎖で固定されていたのだ。


「抜けなっ……」

『捕まえました、よ！』


胸ぐらを掴んで思いっきり頭突きをする。
喧嘩みたいなやり方だが、今回ばかりはAもレモンやマッシュのことを言われて抑えが効かなかった。

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