i・ko・i [12/25更新] (ページ17)

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櫻井くんとは今までにも何度かウチ飲み経験があるから抵抗は無い。

櫻井くんは同期で、毎日一緒に仕事をしている信頼すべき相方。

それをお酒の勢いで壊せるほど私も浅はかじゃないし、何よりもお酒の勢いが身を滅ぼす怖さとその結末を誰よりも知っている。

最初にウチ飲みの話が出た時、雰囲気に流されて事故が起こる可能性があるなら飲まないと言った私に、"オレだって仕事や立場を、何よりも大切な同期からの信頼を一気に全部失うような軽率なことをする気ねーわ"と櫻井くんは言い切った。

"オレの危機回避能力と理性を舐めんなよ？そもそも、理性を失うような飲み方が許されんのは大学生までだわ、アホか"と言い切って、ああ・・・櫻井くんってやっぱり同期の星だわ、本当に出来る男はこういうところまで違う・・・と、つくづく思った。

何より、イケメンだから女に困ってないでしょ？遊ぶために同僚という危ない橋を渡らなくても、櫻井くんなら簡単かつ安全に遊べるよね？

そう付け足した私に、"そこまで手当たり次第遊ばなきゃなんねーほど欲に忠実じゃねーわ。つーか、遊ぶ暇あると思う？藤野、オレに対する決めつけがヒドくね？"
"さすが！って持ち上げといて勝手なイメージでオレを落とすな"って怒られた。

最初の時、シャワーを先に浴びたいからと三十分後の約束をして以来、それが暗黙のルールになったので、急いでシャワーとブローと軽いメイクを済ませる。

三十分後に"今からコンビニで酒買ってから行くわ"と連絡をくれる辺り、約束に厳しいはずの櫻井くんの、女性への気遣いも抜群だなぁと感心する。

うちに来た櫻井くんは、化粧し直したの？オレ相手に、と笑う。

リビングのテーブルに置かれたコンビニの袋には、"酒買ってから"と言いながらデザートが三種類と炭酸水が二本入っていた。

飲みに来たんじゃ？と聞くと、

櫻井『いや、身の上話を聞きに来たから。どれ食う？』

と、デザートを指差す。

「苺」

櫻井『でしょうね。わかって買ってきてるけど(笑)』

四百八十円のスペシャル苺パフェを差し出してくれる。

櫻井『夜遅くに甘い物をたくさん食べる背徳心だよな。ま、おまえは少し戻るくらいでいいと思うけど』

「太りたくないんだけど」

櫻井『おまえ、元からそんな太ってねーだろ。

で？本題に戻すぞ？

部長は結婚の予定があることをわかった上で異動させたんだよな？』