i・ko・i [12/25更新] (ページ2)

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美雪『あたし、民事担当だから人の離婚はそれなりに見てるけど、結婚前からトップレベルのクズよ、山田。

まさかそれが大学時代の友人で親友の婚約者だったなんて』

うん。

で、おまけに"最後にシよう"ですって？サルじゃん。
さすがにそれには応じてないわよね？と聞いた美雪に勿論と頷く。

トップレベルどころかぶっちぎりで優勝よ。殿堂入りだわ。
浮気して子供作って破談にして、最後にシようってマジでサルにも失礼よ。

美雪は大袈裟に肩を竦めて笑って、でも、よく言えたね、二週間以内に契約したマンション売って私が準備した四百万返してって。

"いきなり金の話かよ、最低だな"って当たり前じゃない。婚約破棄する以上、その瞬間に他人なの。
他人にお金を用立ててやる必要なんか無いっての。ホント山田ってバカなの？と憤慨する美雪。

すぐには無理だと拒む優人に、"会社の上司と双方の親とマミの親の前で婚約期間中に別の女性を妊娠させて、慰謝料どころか、体の関係を更に要求した上にこちらが準備したお金すら返そうとしないって言っていいならいくらでも待ちますけど"って半ば脅迫めいた台詞を吐かなきゃ動こうとしなかったと、その経緯を説明する。

負担して貰ったお金すら返そうとしないなんて、自分のやらかしたことの重大さ、わかってないわね。余分なお金が発生するのに。

マミだって、いくら配慮が必要な妊婦だろうと、一組の婚約をぶち壊してるのよ？マミはあんたと婚約してるのをわかってて山田を部屋に連れ込んでるんだから。
そんなつもりはなかったって訴えたって、そんなのは山田とマミがする話で、あんたはどちらにも慰謝料請求出来るんだからね？って美雪。

もういいのよ。どうせ優人に慰謝料請求したって払えないから。

美雪『は？あいつ、大手設計事務所勤務なんじゃないの？』

あー・・・

優人、節約するタイプじゃなかったの。
結婚したらそりゃあ考えるよって言ってたけど、普段からお昼ご飯に千円以上使える人だった。

式場の費用は両親が出してくれて、マンションの購入資金も私の方が準備した金額が多かった。
指輪の代わりに腕時計をくれたし結婚指輪にもお金掛かったし・・・って、頭金と比較するほどの出費じゃなかったな・・・

改めて、何で金銭感覚がここまで違う人と結婚しようと思ったんだろうって項垂れながら美雪を見遣る。

美雪『離婚予備軍。籍入れる前に終わってよかったわね』