i・ko・i [12/25更新] (ページ5)

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もういいのって両親を説き伏せる。

夜になって美雪から連絡があり、月曜日から一週間の予定で東北に出張らしいから、新居を探すなら今かもと言われる。直接会って、接近・接触しないように言質を取ろうと、すぐに動いてくれていたらしい。

ちょうどお姉ちゃんのマンションが空いてるから、急いで引っ越す！って美雪にお礼を言う。

Aの連絡先を教えろってうるさかったけど、あんたとの関係を断ち切りたくて番号変えたのに何言ってんの？クライアントの個人情報を漏らす弁護士がどこに居るのよと一蹴したらしい。

ホントに懲りてない。

それ以上近付こうとするなら慰謝料請求するよ？即金よ？会社にうちの事務所名で内容証明送り付けようか？
そんな手荒な真似されたくなかったら・・・と、待ち伏せや付き纏いについても警察への届出をほのめかして口約束は出来たから、次は書面で約束させると言ってくれた。
ありがたい。

月曜日、部長に婚約破棄を報告する。

幸か不幸か会社で恋人の存在には一切触れていなかったので、婚約していたことも、異動の打診の際に報告していた部長と前の部署の責任者しか知らない。

部長は目を見開いてから悲しそうな顔でそれを聞き、急な有給申請にも関わらず、申告より一日多い火～木の三日間の有給を許可してくれた。

直属の上司である谷口課長には、予定していた結婚がダメになって元婚約者が不在のうちに引っ越したいと部長から先に話が通してあり、"聞いたよ、急でバタバタするだろうけど早く落ち着けるといいな"と声を掛けてくれた。

両親の手伝いと、リサイクルショップの出張買取を駆使して何とか無事に引っ越しが終わる。

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ある日、内線を取ると受付から同僚の櫻井くんに来客だと言われる。

スケジュールボードを確認したら、櫻井くんは会議終了時刻を過ぎているものの戻って来ていない。

代わりの者が向かう旨の伝言を頼み、会議室の櫻井くんにコールする。

───はい、第三会議室、営業二課櫻井です。

「営二藤野です。Ｍ社のワタナベ様とヤマダ様がご挨拶に来られてるみたいだけど行けそう？」

───あー、今から撤収。

「じゃあ代わるから受付までお願い。私も今から受付に向かうから」

───わかった。悪いけど繋いどいて。

「了解、じゃあ後で」

受話器を置いて受付に向かうと、視線の先に優人の姿が。