i・ko・i [12/25更新] (ページ23)

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その後ろに私が居たことに優人はやっと気付いて、手を伸ばそうとしてきたから櫻井くんに身を寄せて睨みつけた。

肩が当たって、"ん？どした？"と言った櫻井くんに、ふらついたと返すと、"足、捻ってないか？"と確認してくれる。

優しい・・・。櫻井くん、ありがと。

次はＲ社かと零した潤くんの表情が痛々しい。

目を少し潤ませて、悲痛な視線をこちらに向ける。ゴメンねという思いを込めるしかなかった。

今日、話さない訳にはいかない。

潤くんには直接話すべきだと、そればかりを優先して先送りにして、結果として出先でこんなにも悲しい思いをさせてしまった。

優人に対しての怒りよりも、私がどれだけ傷ついたかを考えてしまったんだろう。

最後のＨ社を後にしてすぐ、ビルとビルの間の路地で着信の折り返しの為、少し離れた潤くんを尻目に意を決して櫻井くんに口を開く。

「この後の食事、申し訳ないけど外して貰っていいかな？」

キョトンとした顔の櫻井くん。

「課長、途中から作り笑いになってたの、気付いてる？」

櫻井『あー、途中から涙目で少しイライラしてる感じだったから具合が悪いのかなとは思ってたけど・・・』

いつからだった？
Ｍ社を出た頃だっけ？と言った櫻井くんに、その時のやり取りを覚えてるかと尋ねると、あー、山田さんが結婚したって聞いて、おめでたいのに"気の毒"って言うから違和感があったと言った櫻井くん。

「うん。それが課長を・・・潤くんを傷つけちゃったの。

全部話さなきゃね」

少し顔を顰めた櫻井くん。

潤『優人。そう言えばわかるか？

Ｍ社の、あいつの名前は"山田優人"』

腕組みをして吐き出した潤くんの言葉に、櫻井くんが目を見開く。

櫻井『まさか、藤野の、』

潤『そう。そのまさか。

で、そのついでに言うと、"社内で知ってるのは数人"の中に、まさか櫻井が入ってるとは思わなかった。

しかも"潤くん"っておまえ、初対面の振りをした意味ねーじゃん(苦笑)』

「だって、絶対に間に挟んじゃうって思ったから、婚約者が居たのを知ってた人ってのは話してたの。
時計つけてなくて独身で彼氏もいないって言った瞬間、潤くんめちゃくちゃ怒った顔してたし。

それに、前に会社で泣いちゃった時にフォローしてくれた」

そっか、と潤くんは零して、

潤『櫻井、悪いけど今日は外してくれるか？

また、改めて埋め合わせする』