継子への当たりが強いのでは？【時透無一郎】

継子と覚悟 ページ27

「"＿＿＿炭治郎が鬼の妹と共にあることをどうか御許しください"

"禰豆子は強靭な精神力で人としての理性を保っています。"
"飢餓状態であっても人を食わず、そのまま二年以上の歳月が経過致しました。"

"俄には信じ難い状況ですが紛れもない事実です。"

"もしも禰豆子が人に襲いかかった場合は、竈門炭治郎及び＿＿＿



鱗滝左近次、冨岡義勇が腹を切ってお詫び致します。"」



はっとし、思わず義勇さんの方を見る。
目は合わないが、相当の覚悟があるということがわかる。

炭治郎さんの心にもきっと、響いたことだろう。



「…切腹するからなんだと言うのか。死にたいなら勝手に死に腐れよ。何の保証にもなりはしません。」


「不死川の言う通りです！人を食い殺せば取り返しがつかない！殺された人は戻らない！」



それでも、否定派は存在する。
彼等の言うことも、充分なほど分かった。私だって、那田蜘蛛山でのことがなければ鬼の存在(禰豆子さん)を許すことはなかったと思う。



「確かにそうだね。人を襲わないという保証ができない、証明ができない。ただ…


人を襲うということもまた、証明ができない。」



凛とした、穏やかな声がよく通る。



「禰豆子が二年以上もの間人を喰わずにいるという事実があり、禰豆子のために"四人"の者の命が懸けられている。」

『っ！』



御館様は、確かに仰られた。
"四人"それは、手紙にあった三名の他に、一人。

そう、私の事である。


一体いつから…と思っていたが、御館様の事だから、きっと最初から分かっていらっしゃったのだろう。



「…」



私の手に、師範の手が重なる。少し震えているようだった。



『…師範。』



声を掛けても、返っては来なかった。

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