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爆発してしまうのではないか。そう思う程の心音が鼓膜に響いている。
嗚咽をもらしながら情けなく涙を流すクラークさんをなぜだか抱きしめてやらねばならないと、意識とは別に両腕が勝手に動いていた。
着痩せするタイプなのか普段目で見ているより体付きは意外としっかりしていて、クラークさんもれっきとした男性なのかと認識させられているようだ。
そんな体つきとは裏腹に、彼はそれこそ子供のようにえんえんと涙を流している。
きっとアイマスクは使い物にならないくらい濡れているだろう。
グズグズと鼻を鳴らしながら、クラークさんは言葉を詰まらせて口を開いた。
「死んでしまったかと思った.......ずっと目を覚まさないから、一生起きないのかと」
クラークさんがそう言うのはこれで二度目だ。彼は憶測で何度も勝手に私を殺している。
「でも貴方に殺されるなら悪くない」
「じょ、冗談じゃない！」
驚きに打たれたようにクラークさんは私の肩を強く掴んだ。
「君を置いて幸せになるなんて以ての外だ、二度とこんな事言わせないでくれ」
愛おしそうに婚約者の名前を口にしたクラークさんを初めて見た時、ここに足を運んで良かったと思った。
そこに真っ当な理由などなく、たかが恋人の為に自らを犠牲にして、他人に幻想まで抱いてしまう彼が哀れで滑稽で、憎たらしくて.......。
こいつの目の前で死んでやれば現実に気がつくだろうかと、いじらしい思いを抱いていたのだ。
滑稽なのは私の方だ。
「まさか私が幸せになれるとでも思っているんですか？」
人にはそれぞれ喜びと悲しみが平等に振り分けられていると、幼い頃見た本に書いてあった。そんな記憶がある。
それを信じていたのは単純で無垢な年頃のほんの数年で、そんなのは嘘だと気がつくのにそう時間はかからなかった。
幸せな顔をした人が憎くて仕方がない、そう思っていたはずなのにクラークさんと居ると母の気持ちが理解できるような気がして、その事実が少しだけ嬉しかった。
望まない子供を身篭った、男に捨てられた、人の幸せを怖そうとした、自らの手で幸せを掴もうとした可哀想な私の母親。
ああ、こんな気持ちだったのかとあんなに嫌っていたはずの母親が可愛そうで、彼女が最期に私に残した呪いで無意識に自分自身を殺そうとしていた。
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イキテル(プロフ) - 猫夜桜((シラキさん» とても嬉しいコメントありがとうございます。閲覧感謝です！ (2020年4月2日 1時) (
レス) id: eab5f6dd9c (このIDを非表示/違反報告)
猫夜桜((シラキ - 何も言えない、言いたいんだけど語彙力が無さすぎて、あと文才ありまくりプロの方ですか← (2020年4月2日 0時) (レス) id: 27d48dc6f8 (このIDを非表示/違反報告)
イキテル(プロフ) - ハルさん» コメントありがとうございました、今後の励みになります。感謝です！ (2020年3月25日 0時) (レス) id: eab5f6dd9c (このIDを非表示/違反報告)
ハル - 読み易い！文が綺麗！ (2020年3月24日 15時) (レス) id: 121cd7f10a (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - ご返答ありがとうございます、了解しました！貴方様の作るお話が大好きなのでこれからも頑張ってください！応援してます！ (2020年1月30日 10時) (レス) id: 48f80f9c86 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イキテル | 作成日時：2019年12月26日 2時
